「離婚を考えているが、離婚をした後の生活はどうなるのか?別居中の生活はどうなるのか?」
「離婚をしたら子どもの親権はどうなるのか?養育費は?面会交流は?」
「夫婦で積み立ててきた財産はどうなるのか?自宅は?保険は?ペットは?」
「年金・社会保険はどうなるのか?」
「慰謝料は発生するのか?いくらもらえる/支払わなければならないのか?」
「離婚をしたら苗字はどうなるのか?子どもの苗字はどうなるのか?」
「家庭裁判所ではどのようなことをするのか?自分だけで対応できるのか?」

など、離婚・夫婦関係の問題に直面したとき、様々なことを悩まれるのではないかと思います。

インターネット上には様々な情報があふれていますが、自身の状況に応じた適切な情報を手に入れるのは難しいものです。
ぜひ、専門家である弁護士にご相談ください。

当事務所の経験豊富な弁護士が、事案に応じて、必要な情報を提供させていただきます。
そして、事案に応じ、適切な手続きの利用をサポートさせていただきます。

「このようなことを弁護士に聞いてもよいの?」

と悩まれる必要はありません。
まずは、一度、お問い合わせ下さい。
お悩みの解決に向けたアドバイスをさせて頂きます。

DV事案、モラハラ事案など、生命・身体の危機が迫っているような状態に置かれている方もいらっしゃると思います。
当事務所の弁護士は、緊急の対応が必要な、困難事案にも対応します。
男性側、女性側、いずれも対応可能です。できる限り早く、ご相談ください。

「配偶者が置手紙をして出て行ってしまった」
「配偶者の代理人から通知が届いた」
「裁判所から調停/訴訟の呼出状を受け取った」

など、離婚事件等の相手方となってしまった方のご相談もお受けしています。
可能であれば、ご自身で対応をされる前に、一度、ご相談ください。
どのように対応すべきか、ご説明をさせて頂きます。

また、当事務所では、夫婦関係・親族関係に関する事件全般を扱っております。
離婚や別居に伴って発生する、婚姻費用分担請求、養育費請求、財産分与請求、慰謝料請求などのお金の事案、
面会交流、子の引き渡し、養子縁組に関する問題などの子どもに関する事案、
家庭裁判所の手続等で決まった権利の実現(債権回収・強制執行など)、
夫婦円満を求める話し合い、調停、
子の氏の変更・特別代理人の選任など、家庭裁判所で行う各種手続きなど
家事事件全般に対応をさせて頂きます。
なお、慰謝料請求についてはこちらもご覧ください。

まずはお問い合わせください。
ご相談者様の希望をお聞きしながら、必要な手続きをご案内し、対応します。

Q&A

よくある質問と回答

Q. どのタイミングで弁護士に相談に行ったらよいでしょうか?

A. 弁護士への相談は、早ければ早いほどよいと考えます。

 弁護士への相談を検討されるということは、何か心配されていることや迷われていることがあるのだと思います。その心配事や迷い事をご相談いただければと思います。すぐに解決できる場合とそうでない場合がありますが、何らかの方向性はお話しさせて頂くことができます。
 「高額なお金がかかるのではないか」と心配される方もいらっしゃると思いますが、初回のお問い合わせは無料です。ご相談の内容をお伺いして、今後、想定される弁護士費用や手続きに要する費用をご説明させていただきます。弁護士への相談を続けるか、依頼をするかは、この費用に関する説明を聞いてからご検討ください。一度相談をしたから依頼をしなければならないということはありません。また、ご収入や資産の状況によっては、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助制度(無料相談・弁護士費用の分割払いなどの制度。)を利用できる場合があります。必要に応じ、制度の説明をさせて頂きます。

 「離婚をするかどうか迷っている」という方もおられると思います。このような方も、まずはご相談いただければと思います。離婚をした場合に生活がどのように変わるのか、説明をさせて頂くことが可能です。離婚に向けて動き出すか、説明を受けてからお考え下さい。「弁護士に相談をしたら、無理矢理にでも離婚をする方向に話を持って行かれるのではないか。」と心配される方もいらっしゃると思いますが、少なくとも当事務所ではそのようなことはありません。離婚にはメリットもデメリットも存在します。何でも離婚をすればよいと考えている訳ではありません。ご相談者様の状況やご要望に応じ、適切と思われる方針をご説明させて頂きます。

 「今は同居中なので、相談をしても意味はない」と考える方もおられるかもしれません。しかし、別居前でも弁護士に相談する意味はあります。別居をするメリット、デメリットの説明や、別居をする際に気を付けた方がよいことなどをアドバイスすることができます。別居後の生活費の問題や子どもを連れて別居するべきかどうかなど、別居の際には難しい問題も発生しますので、別居前の準備をするという意味でも弁護士へのご相談をお勧めします。また、一般的に「同居中の方が、今後の手続きに必要な証拠を集めやすい」といえます。別居前にどのような証拠を収集すべきか、今後の手続を見据え、アドバイスをさせて頂くことが可能です。

 「どの弁護士に頼むのがよいかわからない」という悩みを持たれる方も多いと思います。これは、弁護士の側としても、回答が難しい問題です。一つの回答として「まず、一度相談をしてみて、その弁護士と相性が良いか、話しやすいか、考えて頂く。相性が良ければその弁護士への相談、依頼を続け、相性が悪い場合は別の弁護士に相談をする。」という方法はいかがでしょうか。依頼者と弁護士の相性はとても重要です。初回の相談では、まず「相性が合うか」という視点で相談をされてみてはいかがでしょうか。先ほども書きましたが、「一度相談をしたらその弁護士に頼まなければならない」ということはありません。ご自身に合う弁護士を探していただければと思います。

 「まず、自分で動いてみて、うまくいかなければ弁護士に相談をすればよい」とお考えの方もいらっしゃると思います。しかし、「まず、自分で動く」ということはお勧めできません。事件の途中で弁護士に相談をされても「もう修正することができない」「修正することはできなくはないが、余計な時間や費用が掛かってしまう」というケースは多くあります。方針を間違えないようにするだけではなく、かかる時間や費用を少なくするためにも、なるべく早いうちから弁護士に相談をしておくことをお勧めします。

 「弁護士に相談をする時間がない」という方もいらっしゃると思います。しかし、(これは離婚に限りませんが)問題は放置すればするほど、解決にかかる時間も増えていくことが多いです。問題を先延ばしにした結果、解決のために多大な時間(や費用)が掛かるということになりかねません。様々な事情はあると思いますが、夜間・休日の相談や電話相談、ウェブ相談にもできる限り対応しますので、何とか時間をつくっていただければと考えております。

Q. 離婚事件を弁護士に依頼することのメリットは何なのでしょうか?

A. 離婚の交渉や調停は「話し合い」です。『「話し合い」であれば、特別、法律の知識はいらない。弁護士に依頼をするのは離婚訴訟となってからでよい。』と考えられる方もいらっしゃるのではないかと思います。実際に、家庭裁判所の手続きのうち、離婚訴訟などの人事訴訟については弁護士選任率が98%程度である一方、夫婦関係調整調停(離婚調停・円満調停)については、弁護士選任率は(年々増加傾向にはありますが)50%程度となっています。それでは、離婚の交渉や調停の段階から弁護士に依頼をするのは「お金の無駄」なのでしょうか。

 一般に、離婚の交渉や調停を弁護士に依頼することのメリットには、以下のようなものがあります。

① 知識・経験を得ることができる
 離婚を考える際には、「離婚をするかしないか」を考えるのみではなく、子どものこと、お金のこと、住む場所のこと、氏のこと、各種手続き等々、様々なことを考えなければなりません。これら全てを自分の力で考えることはかなり大変です。考えている中でどうすればよいか分からないことも出てくるかもしれません。弁護士は、これらの考える作業をお手伝いでき、また、「こうすればよいのではないか」とアドバイスをすることもできます。

 最近は、離婚に関する情報が記載されたウェブサイトが多数つくられています。しかし、これらの情報は誤っている場合もありますし、情報は正しいがその情報に当てはまる事案が限定されるというものもあります。これらの見極めは、法律の専門家でなければ、難しいものです。法律の解釈や裁判所の運用は、専門家でなければわからない点が多くあるものです。

 また、「家庭裁判所の調停を利用する場合、調停委員が正確な法律知識を教えてくれるのではないか」と考えている方もいらっしゃると思います。しかしながら、家庭裁判所の調停委員は、必ずしも法律の専門家ではありません。調停委員の言葉が全て正しいとは限りません。わざとうそをつくようなことはしないでしょうが、不正確なアドバイスがあり得ないとは言えません。離婚手続きにおいては、法律の知識がないことにより、損をする場面が意外とあります。弁護士には、「知らないことによる損をさせない」役割もあります。

 弁護士に相談・依頼をすることにより、様々な問題点を整理していくことができますし、正確な情報を踏まえて検討をすることができますので、安心して手続きを進めていくことができます。

② 弁護士が交渉の窓口となる
 「相手が攻撃的である」「相手が感情的になって話し合いにならない」「暴力を振るわれる」等々、離婚の話し合いがうまくいかないケースは数多くあります。これらのケースを自分一人で対応するのは大変なことです。このようなケースで弁護士がついていれば、相手方への対応を弁護士に任せることができます。弁護士が介入した時点で、まず、相手方に対し、弁護士が窓口になることを通知させていただきます。

 また、弁護士が窓口になることで「知識がないこと等により、だまされる」、「損な合意をさせられる」、「意味のない書類を作成してしまう」ということを防止することができます。

 このように、弁護士に交渉の窓口を任せることにより、離婚などの手続きの心理的なご負担を減らすことができます。また、相手方とのやり取りに時間をかける必要がなくなりますので、体力的なご負担も減らすことができます。

③ 裁判所対応を任せることができる
 家庭裁判所で調停を申し立てる際には、様々な書類の作成や書類の収集を求められます。家庭裁判所からの連絡にも対応をしなければなりません。調停の際に「宿題」を課されることもあります。これらの家庭裁判所との対応は、慣れていない方にとっては、大変なことも多いかと思います。最近は、裁判所の側もできるだけ簡単な言葉で説明しようと努力をされていますが、裁判所は法律にしたがって手続きを勧めなければなりませんので、どうしても、専門的な用語を使うしかない場面もあります。また、裁判所は当事者を平等に扱わなければなりませんから「一方のためだけに丁寧に説明をする」ということはありません。時々、「一方が弁護士に依頼をしてもう一方が本人の場合、裁判所は、本人の見方をしてくれる」といったインターネット上の書き込みを見ることがありますが、裁判所がそのような配慮をすることはありません。

 弁護士にご依頼いただければ、裁判所対応は、全て弁護士が行うこととなります。書類の作成や電話連絡なども、全て弁護士が行います。ご本人で取得する必要のある書類は、適宜、その取得方法を弁護士から説明をさせて頂きます。弁護士に依頼をすることで、手続面のご負担も軽くなります。
 また、調停の中では、調停委員から様々なことについて説明を求められます。「自分自身のことを説明するだけだから簡単なのではないか」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、裁判所という特殊な場で、初対面の調停委員に、時間の制限のある中で、言いたいことを十分に伝えるのは相当難しいものです。弁護士にご依頼いただければ、弁護士が調停に同席し、必要なサポートをさせて頂きます。

 以上のとおり、弁護士に依頼をすることで、心理的にも、手続的にも負担を減らすことができます。離婚などの手続きは、かなり負担がかかるものです。弁護士に依頼をすることで、その負担を減らすことができます。これが、弁護士に依頼をする一番のメリットなのではないかと思います。

Q. 弁護士に相談をした方が良いのはどのようなケースですか?

A. 弁護士の立場からすると、どのようなケースでも、一度は弁護士にご相談いただいた方が良いと思います。簡単と思われるようなケースでも、専門家の目線で見れば解決しなければならない課題があることもあります。ぜひ、一度、弁護士にご相談ください。当事務所では初回の相談は無料です。まず、弁護士と話をされてから、依頼されるかどうかを決められるとよいと思います。依頼を強制するようなことはありません。

 とはいえ、これでは答えになりませんので、以下、弁護士に依頼すべきケースをお話しさせていただきます。

① 離婚をすることについて争いがあるケース
 そもそも離婚をするかどうかについて合意のないケースは、最終的には、離婚の訴訟に進む可能性が高くなります。最終的に訴訟になり、判決になることを見据えて活動する必要があります。訴訟の見通しを予測することは、訴訟に慣れている弁護士でなければ難しいものです。

② 当事者だけでは話し合いにならないケース
 当事者間で話し合いにならない場合、話し合いを先に進めるためには第三者による介入が必要です。このようなケースでご親族やご友人が第三者として介入をしても、紛争の解決は難しいものです。弁護士が介入し、話し合いによる調整を続けるべきか、家庭裁判所の手続に進むべきか検討し、紛争の解決に向けて適切な方法を選択することが重要です。

 DV・モラハラが問題となるケース
 これらのケースでは、まず、自分自身の身を守ることが重要です。ご自身の身を守り、手続きを進めるためにどのような方法があるか、弁護士がアドバイスをし、サポートします。
 なお、DV・モラハラの被害者は女性だけではありません。男性の方が被害者となるケースもあり得ます。当事務所では、男性・女性を問わず、ご相談をお受けしております。

④ 親権が争いになるケース(子の引き渡しが問題になるケースを含む。)
 家庭裁判所の離婚調停で親権が争われる場合、家庭裁判所調査官の調査が行われるなど、手続きが複雑になりがちです。これらの手続をご本人のみで対応されるのは大変です。
 また、子の引き渡しや離婚成立までの監護権者が問題となるケースでは、必要なときに必要な手続きを申し立てなければ、権利を実現することが困難になります。これらの手続も、弁護士のサポートなしで対応するのは困難でしょう。

⑤ 離婚調停を申し立てた方、申し立てられた方、あるいは離婚訴訟の原告となった方、被告になった方
 家庭裁判所への対応は一般の方には難しいものです。家庭裁判所は、一方の当事者の味方はしません。手続きに不備があっても、基本的には助けてくれません。専門家である弁護士のサポートがあれば、手続きを安心して進めることができます。

⑥ 離婚に伴って財産の分与が発生するケース(特に分与する財産が多数・複雑なケース)
 離婚に伴う財産分与が争いとなる場合、資料を収集し、その資料を整理し、財産が財産分与の対象となるかを見極め、(調停・訴訟の場合は)適切に裁判所に伝え、適切に分与を行い、分与後に必要な手続きを行う、ことが必要になります。これらを、ご本人のみで行うのは難しいでしょうし、事案によっては、不動産を取得したのに登記を移転することができない、相手方が約束を守らないときの強制執行をすることができない、予想外の税金が発生したなど、思わぬ不利益を被ることもあり得ます。

⑦ 不倫・暴力などによる慰謝料の支払いが問題となるケース
 慰謝料の支払いを求める/求められるケースでは、証拠が重要な意味を持ちます。裁判所がどのような証拠を重視するかは、弁護士でなければ判断は難しいものです。
 また、慰謝料等の額についても、一般の方にはどの程度の額が適切なのか、判断が難しいところです。弁護士が事案や証拠を見つつ、ご依頼者が損をしないよう、サポートします。
 → 不倫慰謝料について、より詳しくはこちら
 

Q. 相手方(代理人)/裁判所から通知が届きました。無視してもよいのでしょうか?

A. いずれの場合も、無視は危険です。適切な対応をしなければなりません。

 相手方や相手方の代理人からの通知については、放置をしたというだけでは不利益にはなりません。しかしながら、放置をすることにより、相手方が、家庭裁判所での調停など、次のステップに進む可能性があります。事案によっては、仮処分・仮差押えなど、強硬手段をとることもあり得ます。放置をし続けることで、今後、不利益が発生することが予想されますので、適切な時期に、適切な対応をとることが必要です。
 なお、相手方や相手方の代理人が「回答期限」を設定することがあります。ただし、相手方や相手方の代理人による回答期限は、相手方や相手方の代理人が勝手に設定をしているだけですので、これを過ぎたからといって直ちに不利益を受けるということはありません裁判所が設定をする回答期限とは異なります。
 時々、回答期限がかなり短く設定されていて、これに焦ってしまい、十分に検討することなく回答をしてしまう方がいらっしゃいますが、これは危険です。まずは、落ち着いて、弁護士のアドバイスを受けるようにして下さい。もちろん、弁護士への問い合わせは、できる限り早い方が好ましいですので、お早めにご連絡を頂けると助かります。

 裁判所からの通知については、無視をしていると不利益を受けます。事案によっては、給料や財産の差押えを受けるなどの不利益を受ける可能性もあります。また、離婚訴訟や慰謝料請求訴訟などでは、無視を続けると、相手方の言い分が全て認められることもあり、こちらにとって必要以上に不利益な判決を受けることにもなりかねません。裁判所からの通知を無視することは、絶対にしないでください。回答期限までに、必要な対応をしなければなりません。
 裁判所からの通知を受け取られたら、できるだけ早く、弁護士にご相談されることをお勧めします。

Q. 別居中の生活費が不安です。

A.「主婦・主夫である/パートであるため収入がない/少ない」、「転居によって仕事を続けることができない」、「子の生活費を1人で負担することは難しい。」など、別居時に、当面の生活費が問題となることは多くあります。別居時に相手方が一時金を渡してくれたり、月々決まった額を送金してくれればよいのですが、そのような約束ができているケースは多くないでしょう。

 このような、別居期間中の生活費が問題となる場合に利用する手続きとして、別居中の生活費を請求する「婚姻費用分担請求」というものがあります。

 「養育費」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。養育費は、離婚後に離れて暮らす未成熟の子(自分自身で独立して収入を得て生活をしているわけではない子のこと。通常、20歳未満の子とされているが、事案により異なることがある。)の生活費を負担するというものですが、「婚姻費用」は、「離婚成立前の養育費」と考えて頂ければわかりやすいかと思います。ただし、「養育費」は子の生活費のみですが、「婚姻費用」には子と他方配偶者の生活費が含まれますので、「養育費」と「婚姻費用」の額は異なります。「婚姻費用」の方が養う人数が増えるため、通常、婚姻費用の方がより高額になります。また、「養育費」は未成年の子がいない場合には発生しませんが、婚姻費用は、未成年の子がいない場合であっても、通常、発生します。

 この「婚姻費用」の注意点として、裁判所の現在の一般的な運用は「婚姻費用は請求した月の分から支払いを開始させる。」ということになっています。そのため、請求が遅れると、過去の婚姻費用が支払われないということになりかねません。「婚姻費用は別居直後に請求するべき」、「もし請求をしていないのであれば、今すぐ請求すべき」ということになります。

 「婚姻費用」の額を決めるにあたっては、家庭裁判所が作成した「養育費・婚姻費用算定表」を参考にすることも多いかと思います。単に「算定表」と呼ばれることもあります。「養育費・婚姻費用算定表」は、裁判所のウェブサイトに掲載されています。使用方法も記載されていますので、ぜひ、一度、ご覧になられてください。この「養育費・婚姻費用算定表」から、おおよその婚姻費用の額を予想することができます。
 ただし、この「養育費・婚姻費用算定表」は、「統計を参考にした、一般的と思われる家庭の生活費」を基準としたものになります。生活状況はそれぞれのご家庭によって異なりますので、「子どもが私立の学校に通っており、高額な学費の負担がある」、「一方が住宅ローンの支払いを行っている」など、修正が必要となる事案もあります。修正が必要となる事情が存在するかは、個別の事案によって異なります。専門家にご相談ください。

 別居中の生活費については、上記の「婚姻費用」の他に、「児童手当」などの給付の振込先を変更することも可能となる場合があります。どのような場合に変更を認めるかについては、各自治体の運用が異なっていることがあるため、詳しくは自治体の窓口にお問い合わせいただくことになりますが、「家庭裁判所の作成した離婚調停の事件係属証明書」等の提出を求める自治体が多いかと思います。一般的には、「家庭裁判所に離婚調停を提起し、その証明書を自治体に提出すれば、児童手当の振込先を変更することができる。」と考えておいていただければと思います。
 なお、「児童扶養手当」(ひとり親家庭に給付される手当)は、原則として離婚成立を要件としていますが、離婚前に給付を受けることが出る場合もあります。各自治体の窓口にお問い合わせください。なお、現在、「離婚調停中であれば児童扶養手当を受給できるようにする」という制度の変更も検討されています。

 なお、生活保護の受給を検討しなければならなくなる場合もありえるかと思います。弁護士が生活保護の受給の申請などをお手伝いすることもできますので、ご相談ください。事案によっては、生活保護の受給申請に弁護士が同行することも検討します。なお、この場合の弁護士費用は、日本弁護士連合会の法律援助制度を利用できる場合があり、ご本人の負担なしで弁護士によるサポートを受けることができる可能性もあります。

「夫婦で貯めた預貯金を別居時に持ち出す」、「相手方の預貯金をこっそりと持って行く」ことを考える方もいらっしゃるかもしれませんが、これらは違法行為になりかねません。少なくとも、弁護士の立場からは、お勧めすることはできません。
夫婦で貯めた貯金の精算は、離婚成立時に財産分与によって対応すべき問題であり、別居時の持ち出しがあると、これの扱いをめぐって争いが激化します。また、事案によっては、警察が介入することもあり得ます。
「相手方が財産を勝手に処分してしまうかもしれない」という場合には、保全手続きなど、別の方法をとるべきです。

Q. 離婚の手続きについて教えてください。

A. 以下の手続があります。

① 協議離婚
 夫婦間の話し合いで離婚することを決め、離婚届を提出する手続きです。
 離婚が成立するためには、夫婦間で、最低限、①離婚をすること、②未成年の子の親権者を父母のいずれかと指定すること、について合意が必要です。財産分与、養育費、面会交流などについても話し合いがまとまればよいのですが、これらのみ争いがある場合には、争いのある部分のみ家庭裁判所の調停や審判を利用することも可能です。

② 調停離婚
 家庭裁判所で離婚の話し合いをする手続きです。
 裁判所の調停委員会が話し合いを仲介しますが、調停が成立するためには両当事者の合意が必要です。合意に至らない場合、調停は不成立となります。
 なお、家庭裁判所の離婚調停は、正確には「夫婦関係調整調停」といいます。離婚を求める場合の他、夫婦円満を目指す調停としても利用することは可能ですし、当初は離婚を求めていたが、調停の途中で(今回は)離婚をしないという合意をすることも可能です。

③ 裁判離婚
 家庭裁判所(・高等裁判所・最高裁判所)で、離婚の理由があるかないかを判断する手続きです。
 裁判離婚を利用しようとする場合、原則として、まず離婚の調停を経ておく必要があります(調停前置主義)。離婚の訴訟では、裁判所が民法に定められた離婚の理由があるかについて審理を行います。最終的には、裁判所が、判決により、離婚の成否を決めます。
 なお、実際には、裁判の途中で、両者の合意(「和解」といいます。)により離婚が成立するケースも多くあります(和解離婚)。

 まず、最初に選択すべきことは、最初から家庭裁判所の手続きを使うのか、まず話し合いをするのか、ということになります。このどちらが適切なのかは、事案によるとしかいえません。
 「Q. 離婚の手続きには時間がかかると聞いたのですが、本当でしょうか?」で詳しく説明しているとおり、家庭裁判所を使うことの大きなデメリットは、手続きに時間がかかることです。そのため、「速く離婚を成立させたい」というご希望をお持ちで、協議離婚を強く希望される方がいらっしゃいます。しかしながら、協議離婚は、夫婦双方の合意がなければ成立しません。夫婦の主張が対立し、いつまでたっても平行線で、合意が成立する見込みはない、という事案も多く見かけます。この場合、いつまでたっても協議離婚は成立しません。このような事案では、最初から家庭裁判所の手続を利用した方が、結果的に解決が速くなるということもあり得ます。
 「話し合いで合意に達する見込みがどれだけあるか」という点は、家庭裁判所を使うか、家庭裁判所を使わず交渉を続けるかを判断する、重要な要素となります。

 家庭裁判所を利用する場合、通常は、まず、離婚の調停を申し立てることとなります。調停が不成立となった場合には、さらに離婚訴訟をするか、検討することになります。離婚の訴訟をする場合には、裁判所に離婚を認める判決を出してもらうことが目的となりますので、民法に定められた離婚事由があるかを検討する必要があります。民法上の離婚事由は民法770条に規定があり、

 1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
 2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
 3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
 4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
 5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

とされています。実際には5号に該当することが多く、離婚事由が問題となる事案はそれほど多くはありません。5号の中には性格の不一致や長期間の別居なども入ります。
 ただし、有責配偶者からの離婚請求、つまり不貞など、離婚の原因を作った側から離婚の裁判を起こした場合に関しては、厳しく審理されることが一般的です。どの程度の事情があれば離婚が認められうるかは事案によりますので、ご相談ください。

Q. 離婚の手続きには時間がかかると聞いたのですが、本当でしょうか?

A. 事案によって様々ですが、時間がかかることは多いです。以下、手続き別に詳しくご説明します。

 協議離婚をする場合、手続きとしては市区町村に離婚届を提出するのみとなります。ただし、夫婦間で離婚等に関する合意ができていないと離婚届を提出することができませんので、離婚等の話し合いを始めてから離婚届けを提出するまでにどれくらいの時間がかかるかは、夫婦間の話し合いがスムーズに進むか否かで変わってきます。すぐにまとまることもあれば、いつまでたってもまとまらないということもあり得ます。裁判所を使う場合と違い、基準となるものがないため、早いときは早いですが、長くなるときはいつまでたっても終わらないということにもなります。協議離婚の話し合いをする場合は、「いつまでに成立しなければ裁判所を利用する」というように、交渉の期限を決めておくことが適切な事案もあります。

 調停離婚の場合、調停を申し立ててから初回の調停まで、1~2か月程度、その後は、1か月に1回程度、調停が実施されることになります。ただし、裁判所が混雑しているなどの理由により、これよりも時間がかかることもあります。最近は、新型コロナウイルス感染防止の影響もあり、裁判所での「密」回避等の理由により、調停の期日の間隔が以前よりも空く傾向にあります。
 何回、調停を重ねるかは事情により様々です。「離婚をするかどうか」だけが争いになっているようなケースや「しばらく音信不通であった」といったケースでは、1回の期日で調停が成立することもあります。しかし、このようなケースは珍しく、何度も調停を重ねることが一般的です。特に親権者をどちらにするかが争いとなっており、家庭裁判所調査官による調査が行われるようなケースではその調査に時間を要することになりますし、財産分与が争いになっており、分与の対象となる財産が多くあるケースなどでは争点の整理に時間を要することもあります。このようなケースでは、調停成立/不成立となるまで1年以上かかるケースもあります。

 裁判離婚も、裁判の期日は、1~2か月に1回程度となることが一般的です。ただし、裁判離婚で弁護士の代理人がついているケースでは、当事者の出席は求められないことが一般的です。もちろん、毎回、裁判所に行くこともできます。裁判離婚の場合にどれくらいの時間がかかるかは争点の量や内容によりますが、裁判を起こしてから数か月かけて争点の整理を行ったうえで、両当事者を呼び出す期日を決め、両当事者の話を聞き、その後、裁判所が判決を書くという流れが一般的です。数か月で判決となるケースは珍しく、1年以上かかるケースも多くあります。一般に、離婚訴訟の前に離婚調停を経ていますので、調停開始から判決まで2~3年を要することも珍しくありません。
 また、判決に不服があれば高等裁判所への控訴、さらには最高裁判所への上告をすることもできますので、控訴・上告になるとさらに時間はかかります。

 以上のとおり、一般に、離婚の手続きには時間がかかります。ただし、時間がかかるからといって問題を先送りにすればさらに解決までの時間を要することになりますので、速やかに着手することが問題の早期解決につながります。

Q. 離婚の条件について争いがあります。ただ、裁判所の手続を利用することは避けたいです。公正証書を使うことなどにより、裁判所の利用を回避する方法はないのでしょうか?「行政書士」や「離婚カウンセラー」などへの依頼はどうでしょうか?

A. 離婚をするかどうか、離婚の際の条件をどうするか(親権・養育費・面会交流・財産分与・慰謝料などをどうするか)について争いがある場合、強制的に決める権限を持つのは裁判所だけです。離婚について何らかの争いがある場合、話し合いが平行線の状態のままだと、裁判所を利用しない限り、解決をすることはできません。
 公証役場で作成する公正証書は、「話し合いがまとまった事項について作成する、効力の強い契約書」です。話し合いがまとまっていなければ「公正証書」を作成することはできません。公証人に争いごとの仲介を依頼しても、公証人が仲介をすることはありません(法律上、仲介をすることはできません。)。公証人は、争いごとを解決する権限を持っていません。

離婚の合意書や離婚・養育費などに関する公正証書の作成を、行政書士などに依頼することをお考えの方もいらっしゃると思います。
確かに、行政書士は、「すでに合意が成立した事項を当事者から聞き取り、それを書面にする」業務を行うことができます。しかしながら、行政書士は、「紛争性のある事件」、つまり、当事者間の合意が成立しておらず、条件などについて争っている案件について、仲介をする権限を持っていません。弁護士(・及び、紛争の対象の価格が140万円を超えない案件については認定司法書士)以外の方が「紛争性のある事件」を扱うことは、弁護士法によって禁止されています。
また、「離婚カウンセラー」、「夫婦問題カウンセラー」などは、そもそも国家資格ではありません。このような肩書の方についても、(別途、弁護士・司法書士の資格を有していない限り)「紛争性のある事件」を取り扱うことはできません。
弁護士(及び認定司法書士)が「紛争性のある事件」を取り扱うと刑事罰の対象となりますし、作成された「合意書」などの有効性について問題になることもあり得ます。ご夫婦の間で話し合いがまとまっていない案件について、行政書士や「離婚カウンセラー」、「夫婦問題カウンセラー」などに依頼をすることは、お勧めできません。

 確かに、裁判所の手続は時間・手間・お金がかかります。しかしながら、離婚をするかどうかや離婚の条件について、最終的に、強制的に決めてくれるのは、裁判所しかありません。ご夫婦間での話し合いが平行線になってしまっている事案では、裁判所を利用するしかありません。
 家庭裁判所は、「調停」という、話し合いの手続を用意をしています。「調停」の手続は非公開ですし、「話し合い」の手続です。いきなり「裁判」になるわけではありませんので、「裁判所」という言葉を聞いて「裁判所だけは利用したくない」と考える方もいらっしゃると思いますが、裁判所の手続を特別なものと思う必要はありません。これまでご夫婦の間でされていた話し合いを、家庭裁判所という場に移し、調停委員に仲介をしてもらうというだけなのだと、考えて頂ければと思います。裁判所の利用を深刻に考える必要はありません。

 裁判所の利用を拒否した結果、争いが激化して収拾がつかなくなってしまったり、作成された合意書の無効を何年も争ったりと、いつまでたっても紛争が解決しないということになりかねません。適切な手続きを、適切に利用することが解決への近道です。

Q. 離婚をする場合には、何を決めなければならないのでしょうか?

A. 最低限、

① 離婚をすること
② 未成年の子がいる場合、その子の親権者を父親・母親のどちらにするか

を決める必要があります。離婚届を提出する時点で、上記2つについて、夫婦間で合意が整っていることが必要です。いったん合意が成立したが、離婚届を提出する前にどちらか一方が合意を撤回した場合、(仮に離婚届を提出したとしても)離婚は成立しません。

 上記①、②が決まっていない場合、離婚届を受け付けてもらうことはできません。なお、②の親権者について、現在の日本の法律では父母のどちらかを親権者として定める必要があるため、共同親権を選択することはできません。ただし、外国法が適用される方の場合は、適用される国の法律の規定によることとなります。

 上記①、②の他、離婚をする際には、養育費、面会交流、財産分与、年金分割などを決める事が多いですが、必須ではありません。先に離婚の届け出をしてからその他の事項を話し合う、あるいは、特定の事項のみ家庭裁判所の調停や審判を利用することも可能です。ただし、年金分割の請求ができるのは離婚の時から2年の間に限られ、家庭裁判所に財産分与の審判を求めることができるのは離婚の時から2年の間に限られる(民法768条2項)など、期間制限があるものもありますので、注意が必要です。財産分与については、離婚から時間が経てば経つほど資料・証拠が少なくなっていきますし、財産の状況に変化が生じて回収が困難になる危険があるという問題もあります。
 また、養育費についても、家庭裁判所の運用より、「請求を行った月からの支払いを命じる」ことが一般的ですので、離婚と同時又は離婚の直後に養育費の請求を行うことで、取得できる養育費の額が増えます。

 さらに、離婚後、音信不通になるなどして、そもそも話し合い自体が難しくなるケースも多くあります。このような事案だと裁判所の手続を利用するしかなくなる上、相手方が行方不明のケースでは、裁判所の手続を使う前に、相手方の所在調査などを行わなければならず、相当の時間と費用が必要になることもあります。

 以上のような事情がありますので、特別離婚を急ぐ理由がないのであれば、協議離婚の場合であっても、離婚届を作成し、提出するのと同時に、養育費・財残分与などについても定めておくことをお勧めします。

Q. 協議離婚をする場合、何を作成しなければならないのでしょうか?

A. 協議離婚をする場合、離婚届を作成し、市区町村の役場に提出することとなります。協議離婚の場合、離婚届には夫婦両方の署名が必要です。
 なお、以前は押印が必要でしたが、デジタル改革関連法の成立により、押印は不要となりました。現時点の運用は、押してもよいし、押さなくてもよいということになっています。

 離婚届には、最低限、① 離婚をすること、② 未成年の子がいる場合、その子の親権者、を決めて書き込む必要があります。他に住所・本籍地など必要な情報を書き込みます。また、離婚届を提出する際には、離婚届に2名の証人の署名が必要となります。この2名は「20歳以上で離婚の当事者でない」という要件を満たせばだれでもよく、全く知らない方でも、外国籍の方でも問題はありません。また、証人になったからといって法律上の責任を負うことはありません。

相手方の署名を偽造して離婚届を提出した場合、(協議)離婚は無効ですし、有印私文書偽造罪、電磁的公正証書原本不実記録罪などの犯罪行為にも該当します。実際に、逮捕され、有罪判決を受けている事案もあります。
どのような事情があっても離婚届を偽造することはしないでください。
「署名を偽造されて離婚届を提出されてしまった」という事案では、調停や裁判で離婚の無効を争うことになります。署名を偽装されてしまった相手方の方は、できる限り早く、弁護士に相談されることをお勧めします。

 協議離婚の場合、離婚届以外に作成しなければならない書面はありません。ただし、養育費や面会交流などについて取り決めをした場合には、書面に残しておくことが多いと思います。口約束でも問題はありませんが、口約束の場合、仮に相手方が約束を守らなかった場合でも約束があったことを証明することが困難になりますので、後々の紛争を防止するために書面に残しておくことが重要です。
 特に養育費については、公正証書で作成することにより、強制執行が可能となります(強制執行が可能となるように文言を調整する必要はあります。)。この点は重要ですので、協議離婚をする場合はご注意ください。逆に、強制執行を考えないのであれば、離婚の協議書を公正証書で作成する必要はありません。

 なお、協議離婚の際に養育費や面会交流の取り決めをしなかった場合も、離婚後にこれらを決めることは可能です。話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の調停手続きを利用することもできます。ただし、

① 養育費については、家庭裁判所一般の運用として、請求時からの養育費しか認めない運用のため、離婚時からの調停申立てまでの間の養育費が払われなくなる可能性があること、
② 離婚時の財産分与(結婚していたときに夫婦で形成した資産を分割する手続き)については、離婚が成立した日から2年を過ぎると請求する権利が失われてしまうこと、
③ 年金分割についても、手続きができるのは、離婚後2年以内に限定されていること、

に注意が必要です。

Q. 離婚をする意思はないのですが、離婚届に署名をしてしまいました。離婚届の提出を止める手段はありますか?

A. 例えば「自分は離婚するつもりはないのだが、自分の署名をした離婚届を相手方の住む家に置いてきてしまった。離婚届を勝手に出されてしまうかもしれない。」など、「離婚をする意思はないが、離婚届を作成してしまった。相手方(又は第三者)が勝手に離婚届けを提出してしまうかもしれない」という事態が生じることがあります。
 このような場合、一方の当事者に離婚の意思がないため、その離婚届の提出は無効なのですが、市区町村の窓口の担当者は「一方当事者に離婚の意思がない」ということを、通常、知ることはできませんので、離婚届は有効に受け取られてしまいます。そうすると、形式上、離婚は有効に成立してしまいます。調停や裁判で離婚の無効を争うことはできますが、手間と費用が掛かりますし、裁判所が離婚の無効を認めてくれるかもわかりません。

 このように、「離婚をする意思はないが、離婚届を作成してしまった」という事案に対応するための制度として、「離婚届不受理申出」という制度があります。

 「離婚届の不受理申出」は、各市区町村の窓口に「申出書」を提出することで行うことができます。申出書の書式は、各市区町村の窓口で入手することができます。また、一部の市区町村では、ウェブサイトに書式を掲載している場合があります。
 申請書の作成方法は、各市区町村にお問い合わせください。一般に、申出をする方と相手方(配偶者)の氏名・生年月日・本籍・住所などを申請書に記入して、窓口に提出することになります。また、通常、本人確認が必要になりますので、運転免許証やパスポートなどの身分証明書をご持参ください。

 申請書の提出先は、原則、自身の本籍地の市区町村役場の窓口です。しかし、本籍地が遠方で、提出が難しいということもありうるかと思います。そのような場合には、最寄りの市区町村役場に提出することが可能です。「離婚届の不受理申出」は、相手方(や第三者)が離婚届を提出してしまった後は、提出することはできません。そのため、できる限り急いで提出する必要があります。申請書の提出が必要な事態が起こった場合には、できる限り早く最寄りの市区町村役場に行き、書式を入手し、申出書を提出すべきです。その市区町村が本籍地でなくとも、とにかく早く申出書を提出することが重要です。
 「離婚届の不受理申出」は、休日・夜間であっても提出は可能です。市区町村役場の夜間受付に提出することになります。平日まで待っていると相手方や第三者が離婚届を提出してしまうかもしれない場合(離婚届けも休日窓口に提出することができます。)には、休日・夜間窓口に「離婚届不受理申請」をするようにして下さい。ただし、休日・夜間窓口では不備の修正などに対応できないこともありますので、可能な場合は、平日に提出しておかれる方がよいかと思います。

 「離婚届の不受理申出」の申請が行われた場合、市区町村役場は、離婚届を受理することができなくなります(戸籍法27条の2第4項)。相手方(又は第三者)が市区町村役場に離婚届を提出しようとすると、市区町村役場は、離婚届を受理することなく、提出者に返還することになります。
 また、相手方(又は第三者)が離婚届を提出しようとした事実は、「離婚届の不受理申出」を申請した方に通知されます(戸籍法27条の2第5項)。

 離婚届の不受理申出をした後に協議離婚の話し合いが整った場合など、申出が不要となった場合には、市区町村役場で申出の取下げの手続を行うことができます。取下げの書式も市区町村役場の窓口で入手することが可能です。必要事項を記入し、身分証明書の確認をしたうえで、窓口に提出することになります。

 「離婚届の不受理申出」の申請をするよりも前に相手方(又は第三者)が市区町村役場に離婚届を提出してしまった場合、離婚届は有効に受理されてしまいます。離婚届提出の時点で一方当事者に離婚の意思がない場合、離婚は成立しないはずですが、戸籍上は離婚が成立します。この場合、戸籍上は離婚が成立していることになってしまうため、放置をしていると、離婚が成立した場合と同様の効果が生じてしまいます。このような状態になってしまった場合には、裁判所での手続きが必要となります。

 離婚の無効を争う方法は2つあります。いずれも家庭裁判所の手続です。

 1つ目の手続は、「協議離婚無効確認調停」です。この手続きは、裁判所で、裁判所の関与の下、(元)夫婦が話し合い、離婚が無効なのかについて話し合う手続きです。(元)夫婦が離婚が無効であることに合意をし、裁判所も離婚を無効とすることが相当と考えた場合には、裁判所が「合意に相当する審判」を行い、離婚が無効となります(家事事件手続法277条1項)。合意に相当する審判が確定した場合には、確定した日を含めて1ヶ月以内に市区町村役場で戸籍訂正の申請をすることで、戸籍も離婚届提出前の状態に修正されます(戸籍法116条1項、117条、43条1項)。
 一方、(元)夫婦の間で合意が整わなかったり、裁判所が離婚を無効とすることが相当でないと判断をした場合には、調停は不成立となり、離婚は無効にはなりません。この場合に、さらに離婚の無効を争うためには、離婚の無効を争う訴訟をすることになります。
 なお、(元)夫婦の合意のみでは離婚を無効にすることはできません。必ず家庭裁判所の関与が必要です。

 2つ目の手続は「協議離婚無効確認訴訟」です。この手続きは、離婚の無効の確認を求める側(原告)とその(元)配偶者(被告)が、それぞれ主張をし、証拠を提出し、裁判所がそれらを参考にして離婚が無効かどうかを判断するものです。離婚が無効かどうかは裁判所が判断をします。被告(元配偶者)の合意は不要です。
 裁判所が「離婚は無効だ」と判断した場合、離婚無効の判決が出されることになります。裁判所が「離婚は有効だ」と判断した場合、離婚届が提出された時点の離婚がそのまま有効ということになります。
 「離婚は無効だ」という判決が確定した場合、確定した日を含めて1ヶ月以内に市区町村役場で戸籍訂正の申請をすることで、戸籍も離婚届提出前の状態に修正されます(戸籍法116条1項、117条、43条1項)。

Q. 離婚調停等を申し立てたい場合、どこの家庭裁判所を利用すればよいのでしょうか?

A. 法律により裁判所の管轄が決まっていますので、その管轄にしたがって、裁判所に申立てを行うことになります。
 なお、家事調停・家事審判・人事訴訟は、いずれも家庭裁判所で取り扱われます。地方裁判所や簡易裁判所で取り扱われることはありません。他方、慰謝料請求訴訟は、原則として、地方裁判所・簡易裁判所で取り扱われます。

 まず、家庭裁判所は、各都道府県に1か所(北海道のみ4か所)、県庁所在地に所在するほか、地域によって支部や出張所が設置されていることもあります。例えば東京都の場合、東京家庭裁判所、東京家庭裁判所立川支部、東京家庭裁判所八丈島出張所・伊豆大島出張所が設置されており、大まかにいうと、それぞれ、東京都心、多摩地区、島しょ部を管轄しています。細かい管轄は、裁判所ウェブサイトに記載されています。「〇〇市 家庭裁判所 管轄」等と検索をしていただければ、裁判所のウェブサイトが表示されるはずです。

 これらの家庭裁判所のうち、実際にどこに申し立てるのかは、当事者の住所によって決まることになります。なお、より正確にいうと、「住所」とは「今、現在、実際に住んでいる場所」を意味し、住民票上の住所と異なることもありえます。誰の住所を基準とするかは、調停、審判、訴訟のそれぞれで、微妙に違いがありますので、以下、ご説明をします。

 調停(離婚・養育費など)の管轄は、原則として「相手方住所地」となります。例えば、調停を申し立てたいAさん(申立人)が東京都豊島区、調停の相手方となるBさん(相手方)が札幌市に住んでいる場合、調停の申立先は、札幌家庭裁判所ということになります。

 離婚訴訟の管轄は、「原告又は被告の住所地」となります。先ほどの例で説明すると、訴訟を起こしたいAさん(原告)が東京都豊島区、訴訟の相手方となるBさん(被告)が札幌市に住んでいる場合、訴訟の申立先は、東京家庭裁判所と札幌家庭裁判所の、どちらでもよいということになります。

 審判の管轄は、どのような内容の審判を申し立てるのかによって異なります。例えば、婚姻費用(別居中の生活費)の支払いを求めるものは、「申立人か相手方の住所地」に申立てを行うこととされています。また、子の面会交流に関する申し立ては「子の住所地」に申立てを行うこととされています。それぞれの手続で管轄がどのようになっているのかは、裁判所のウェブサイトでお調べいただくか、各家庭裁判所の窓口で行われている「手続案内」で教えてもらうことができます。

 また、上記の例外として、当事者が合意で定めた家庭裁判所を管轄とすることができることもあります。さらに、特別な事情があるときは、本来の管轄とは異なる家庭裁判所で調停などが行われることもあります。

 なお、通常は、管轄外の裁判所に申立てを行うと、管轄のある家庭裁判所に移送されます。ただし、事情により移送されない場合もあります。事件を移送するかどうかは、家庭裁判所が判断をします。

 以上のとおり、特に調停について、「相手方住所地」に申立てをする必要があるため、別居中の場合、相手方が遠方にいるということがありえます。東京都23区内⇒立川程度であればそれほど移動の負担は大きくないかもしれませんが、東京⇒札幌、東京⇒那覇など、移動の負担が非常に大きくなるケースもあり得ます。さらに、家庭裁判所には支部・出張所があるため、事案によっては宮古島(那覇家庭裁判所平良支部)・石垣島(那覇家庭裁判所石垣支部)・奄美大島(鹿児島家庭裁判所名瀬支部)などの離島の裁判所が管轄裁判所になることもあり得ます。このように遠方の家庭裁判所が管轄となる場合に、月1回程度の調停期日に毎回出席しなければならないとすると、非常に大きな負担になります。

 家庭裁判所は、このように遠方に居住しているなどして出席困難なケースへの対応として、電話会議を利用することがあります。特に弁護士の代理人がいるケースでは、弁護士事務所の電話と裁判所の電話とつなぎ、ご本人は弁護士事務所の電話で調停に出席するということが、よく行われています。このような制度を利用することで、東京の弁護士事務所から札幌や那覇の家庭裁判所の調停に出席することができます。
 一方が遠方に居住している事案では、電話での調停を重ね、調停成立の直前まで調整を行います。そして、法律上、調停離婚が成立する際には、現地で出席することが必要とされていますので、調停離婚が成立する最後の1回の調停だけ、現地で出席することになります。
 ただし、これにも例外があり、「調停に代わる審判」という制度を利用することにより、一度も現地で出席することなく離婚を成立させる方法が採用されることもあります。この場合、「審判離婚」となります。

 また、家庭裁判所の判断により、最寄りの家庭裁判所からテレビ会議で調停に参加することができる場合もあります。申立てをした先の家庭裁判所と話し合っていただき、調整をすることになります。

 弁護士を代理人に選んでいる場合は、ご本人の代わりに弁護士が調停に出席することも可能です。
 調停手続きでは、弁護士を代理人に選んでいる場合、ご本人と弁護士が、一緒に出席することが一般的です。調停委員の方にご本人の事情を直接伝えるため、ご本人も出席いただいた方がよい場合が多いと思います。もちろん、調停中は、弁護士が、ご本人の横に座り、サポートをさせて頂きます。
 しかしながら、ご本人が遠方で出席が難しい場合やご本人が病気や妊娠中などで出席が難しい場合、家庭裁判所で相手方と顔を合わせることでトラブルが起こる可能性がある場合、調停で争いになっている事項が法律の解釈についてなどでご本人の出席が不要と思われる事情がある場合などは、弁護士のみが調停に出席し、ご本人は、いつでも連絡を受けることができる場所で待機をしていただく、ということも可能です。

 その他、弁護士同士のネットワークを活かし、遠方の弁護士と共同で事件をお受けすることで遠方の事件に対応することもあります。ご相談者・ご依頼者の希望をお伺いしつつ、対応方法を考えさせていただきます。
 
 このように、遠方の裁判所が管轄裁判所となるケースでも、様々な方法で対応をさせて頂くことが可能です。ご自身で対応されるのは難しいと思いますので、まずは弁護士にご相談いただければと思います。

Q. 相手方がどこに住んでいるかわかりません。どうしたらよいのでしょうか?

A. 相手方が配偶者又は元配偶者であれば、ご自身の戸籍を取得することにより、相手方の「本籍地」を知ることができます。この「本籍地」の市区町村は、今、住民票の住所がどこにあるのかを把握しています。この「住民票の住所がどこにあるのか」を記録しているものを「戸籍の附票」と呼びます。相手方の本籍地の市区町村に対し、この「戸籍の附票」のコピーを請求することで、相手方の現在の住民票上の住所地を調べることができます。

 また、弁護士にご依頼いただいた場合には、弁護士会照会などにより、相手方の居住地を調べることができる場合もあります。詳しくは弁護士にご相談ください。

Q. 親権者はどのようにして決まるのでしょうか?

A. 夫婦の合意ができる場合は、その合意によって、父か母に決めることになります。
 なお、日本法が適用される離婚においては、(現時点では)法律上、共同親権を選択することはできません。

 夫婦間の合意が成立しない場合、最終的には家庭裁判所が親権者を決めることになります。家庭裁判所は、親権に争いのある離婚調停等が申し立てられた場合、以下のような対応をすることが多いです。

① 調停期日での事情聴取
 まず、調停委員が父母それぞれから話を聞きます。
 調停の最初の時点から家庭裁判所調査官が同席する場合もありますし、途中から参加をする場合もあります。
 家庭裁判調査官は、家庭裁判所で取り扱っている家事事件などについて、調査を行う裁判所の職員で(裁判所法61条の2)、教育や心理などについての専門的知識を有する方です。親権や面会交流など子の監護などに関して争いのある事案では、調停委員2名の他、家庭裁判所調査官1~2名が調停に加わることが通常です。

② 子の監護状況に関する報告書等の作成・提出
 家庭裁判所が、父母それぞれに、生活状況やこれまでの子の監護状況についての報告を求めます。
 各家庭裁判所から報告の書式を渡されることが多いですが、各家庭裁判所によって運用は様々です。
 また、家庭裁判所から、報告書とあわせて、母子手帳、保育園・幼稚園などの連絡帳、家計収支表、給与明細、預金通帳などのコピーの提出を求められることもあります。

③ 父母・監護補助者の調査
 ②で作成された報告書に基づき、家庭裁判所が父母や監護補助者の調査を行います。通常、家庭裁判所調査官が、家庭裁判所に父母それぞれを呼び出し、聞き取りを行います。また、必要がある場合には、家庭裁判所調査官が家庭訪問をして自宅の状況を確認したり、保育園や幼稚園などの職員から聞き取り調査などを行うこともあります。
 また、子の祖父母など、父母の監護を手伝う方(監護補助者)がいらっしゃる場合、この監護補助者からの聞き取りを行うこともあります。

④ 家庭裁判所調査官と子の面談
 家庭裁判所調査官が、子と面談し、子の意見を聴取します。通常、家庭裁判所で面談を行いますが、子の自宅で面談を行うこともあります。
 家事調停・家事審判では、法律上「家庭裁判所は、親子、親権又は未成年後見に関する家事審判その他未成年者である子(中略)がその結果により影響を受ける家事審判の手続においては、子の陳述の聴取、家庭裁判所調査官による調査その他の適切な方法により、子の意思を把握するように努め、審判をするに当たり、子の年齢及び発達の程度に応じて、その意思を考慮しなければならない。」規定とされています(家事事件手続法65条、同法258条1項)。また、15歳以上の子については、審判・訴訟の際に子の意見聴取を必ず行わなければならないこととなっています(家事事件手続法169条2項、人事訴訟法32条4項)。子の発達状況にもよりますが、ある程度、会話ができる子であれば、子の意見は、判断に大きな影響を与えます。

⑤ 家庭裁判所調査官の報告書の作成
 家庭裁判所調査官が、上記③、④の調査を参考にして、「調査報告書」を作成します。この「調査報告書」は調停・審判・訴訟を運営する裁判官宛に作成される報告書になりますが、当事者は、裁判官の許可を得て、閲覧・謄写をすることができます。
 この調査報告書には、「父/母を親権者として指定することが、子の福祉にとって望ましい」と明確に記載されることもあれば、明確に結論を示さずポイントを示すにとどまる場合もあります。どのような報告が行われるかは、裁判官が、何について報告を求めたかによって変わります。

 家庭裁判所調査官の意見作成の基準は公表されているわけではありませんが、おおむね

ア 父母同居中の子の監護状況はどうだったか(どちらが、どの程度、子の監護、養育にかかわってきたか)。
イ 別居後に監護を行っているのは誰か。その監護状況に問題はあるか。
ウ (子が自らの意思を示す年齢になっている場合は)子の意向はどうか。

という点を考慮して、父母のどちらが親権者にふさわしいか、検討していくことになります。事案に応じて判断は異なってきますが、一般的に、裁判所は、過去から現在まで続いてきた監護状況を変更することに慎重であることが多いため、どの程度の監護実績を重ねてきたかという点が、判断に強い影響を与える傾向にあるように思われます。

 以上の手続きを経て、調停の場合は、家庭裁判所が、上記「調査報告書」を参考にして、親権者を指定するよう、父母に対して促します。ただし、調停は合意がなければ成立しないため、調査報告書の内容に従う義務はありません。調停で話がまとまらない場合、裁判官が調停に代わる審判により「父/母を親権者とすべき」との判断を示す場合もあります。ただし、この審判も、審判を受け取った日の翌日から14日以内に異議が出た場合、その効力を失います。

 訴訟では、裁判官は、特別の事情がなければ、調査報告書の内容を踏まえて判決を作成することになります。そのため、調査報告書の内容は、裁判官の最終的な判断に大きな影響を与えます。親権が争いになる事案の場合、「家庭裁判所の調査官による調査が結論に大きな影響を与える」という点が重要です。

Q. 相手方に子どもを連れ去られました。実力で奪い返してもよいのでしょうか?

A. 子どもを連れ去られた場合、可能な限り早く、裁判所の手続きを利用する必要があります。一般的には、家庭裁判所の「子の引き渡しを求める審判」及び「審判前の保全処分」を提起することとなります。さらに「子の監護者を定める審判」を同時に提起する場合もあります。

実力行使は違法です。未成年者略取・未成年者誘拐などの刑事事件となる可能性もありますので、実力行使をすることは控えてください。自身が親権者・監護権者として指定を受けている場合であっても、実力行使は違法となりえます。子の取り返しは、裁判所の手続によって行わなければなりません。

 「子の引き渡しを求める審判」、「審判前の保全処分」、「子の監護者を定める審判」の申立時期は「早ければ早いほど良い」です。弁護士の立場からすると、子どもを連れ去られたその日に法律相談を受け、書類等が整い次第、すぐに審判等を申し立てることが理想です。裁判所は、子の引き渡しを認めるか否かを検討するにあたり「監護実績」を重視します。子が連れ去られた後、連れ去られた先での「監護実績」が積み上げられた場合、裁判所が「監護実績」を理由に連れ去られた先での生活にお墨付きを与えるということになりかねません。連れ去られた直後の申立であれば、連れ去られる前の「監護実績」が審理の中心になりますので、連れ去られる前の監護実績があれば、子の引き渡しが認容される可能性が高くなります。このような裁判所の運用のため、1日でも早い申立てが求められることとなります。

 「子の引き渡しを求める審判」などを申し立てた場合、家庭裁判所は、速やかに、連れ去った側と連れ去られた側の両者の意見を聞く期日を設定します。この期日で一通りの事情を聴取した後、家庭裁判所調査官による調査が行われる流れが一般的です。家庭裁判所調査官の調査の流れは、Q 親権者はどのようにして決まるのでしょうか」で記載したものと、同じようなものとなります。
 家庭裁判所調査官による調査意見書が提出された後、裁判官が子の引き渡しを命じる審判を出すか否かが決定します。「審判」という手続きのため、両当事者の合意ではなく、裁判官が一方的に決定する形となります。ただし、事案によっては、裁判官の判断により手続きを「調停」に変更し、話し合いによる解決が図られるケースもあります。

 家庭裁判所が「子の引き渡しを命じる審判」をした場合、この審判が連れ去った側と連れ去られた側の両方に送られます。審判を受け取った日の翌日から2週間以内に不服申立(「即時抗告」といいます。)がなければ「確定」となり、その時点で審判が動かないものになります。即時抗告が行われた場合、さらに高等裁判所で審理が行われることになります。
 「子の引き渡しを求める審判」と同時に「審判前の保全処分」を申し立てた場合で、家庭裁判所が「審判前の保全処分」も認容した場合には、「子の引き渡しを命じる審判」がなされた瞬間に、「子を仮に引き渡せ」と求めることができるようになります。この「子を仮に引き渡せ」という判断が出た場合も不服申し立ては可能です。高等裁判所・最高裁判所で判断が変更された場合には、仮の審判は効力を失い、最終的に確定した審判にしたがうことになります。

 子の引き渡しを認容する審判が出て確定した場合、連れ去った側が任意に子の引き渡しに応じた場合はこれで問題解決となりますが、連れ去った側が任意の引き渡しに応じない場合、「強制執行」を行うことになります。この「強制執行」の方法は、

① 裁判所の職員である執行官が直接相手方のところに赴き、子を連れ戻すという方法(「直接強制」といいます。)と
② 引き渡さない場合には罰金(のようなもの。正確には「間接強制金」といいます。)を科すことにより、引き渡しを促す方法(「間接強制」といいます。)

の2つがあります。一般的には、まず間接強制を行い、これがうまくいかない場合に直接強制を求めていくことになりますが、「間接強制では引き渡しの見込みがあるとは認められない場合」や「子の急迫の危険を防止するために必要があるとき」には、間接強制を行うことなく、いきなり直接強制の申立をすることも可能となっています(民事執行法174条2項)。実際にどちらの手続を選択していくかは、裁判所の「執行官」と協議して決めていくこととなります。

 「Q. 親権者はどのようにして決まるのでしょうか?」でも述べたとおり、「現在、誰が子を監護・養育しているか」は、親権の決定に重大な影響を与えます。「これまで監護・養育をしていた子が連れ去られた」という事態が生じた際には、できる限り早く弁護士に相談をし、必要な手続をとっていくことが重要となります。この手続きが遅くなればなるほど、子の引き渡しも認められにくくなりますし、親権の獲得も難しくなります。

Q. 面会交流を求めたいのですが、どうすればよいでしょうか?

A. 別居中や離婚後に別れて暮らす親と子が面会等を行うことを「面会交流」と呼びます。「面会交流を行うかどうか」、「面会交流の内容や頻度をどうするか」等についても、父母の話し合いで決めることが原則ですが、話し合いができない、まとまらない場合、家庭裁判所の調停や審判を利用することになります。離婚の調停や裁判に付随して審理する場合もありますし、面会交流を求める調停・審判のみを行うこともできます。また、既に面会交流が実施されているが、その方法の変更等について調整することを目的とする調停・審判も申し立てることができます。

 面会交流の方法は、①親と子が直接会う「直接交流」が一般的ですが、最近は、②電話、手紙、写真のやり取り、メール、ウェブ(Zoomなど)で交流を行う「間接交流」も増えています。特に新型コロナウイルスの流行後は、感染予防の観点やウェブ会議の利用が進んだこともあり、ウェブ上で面会交流を実施するケースが増えているように感じます。家庭裁判所の調停においても、直接の交流が難しいケースでもあっても間接の交流を実施する方向に促すケースが多くなっています。家庭裁判所は、従来は、「1か月に1回、直接の面会交流を実施する」という方法を実現できるよう促す事案が多かったように感じますが、最近は、間接交流を含めた、柔軟な解決を目指す方向に変わりつつあるように感じます。

 面会交流の調停では、裁判所は、父母から話を聞くほか、家庭裁判所調査官が子から事情を聴取したり、家庭裁判所の庁舎内で試行面会交流(家庭裁判所の用意した部屋で面会交流を実施してもらい、その様子を調査官が観察するというもの。)が実施されることもあります。何回か期日を重ね、徐々に面会交流を実施できるように環境を調整していくという流れで手続きが進んでいくことが一般的です。それでも協議がまとまらない場合は「審判」により家庭裁判所が面会交流について決めることになりますが、面会交流については、極力審判ではなく調停で解決するよう、調停の回数を重ねていく傾向にあります。

 時々「養育費の受け取りを拒否するので面会交流を実施しないという約束をしたい」との相談を受けることがあります。父母の話し合いであればそのような内容の合意も可能ですが、家庭裁判所は面会交流と養育費は別物であると考えているため、養育費の支払いがないから面会交流を実施しなくてよいとは考えません。家庭裁判所は、子が別れて暮らす親から暴力・虐待を受けていたケースなど、面会交流が不適切と考えられるケース以外では、なるべく面会交流を実施する方向に促す傾向にあります。最近は、間接的な面会交流が進んでいることもあり、直接の面会交流は難しいことには理解を示しつつ、間接面会交流を促していくという傾向あるように思われます。

 面会交流の調停では、「面会交流に応じるかどうか」という点のみではなく、「直接交流は可能か」、「直接交流が可能ではない場合、間接交流は可能か」、「間接交流を行う場合、その方法は手紙か、電話か、ウェブか」等、その方法についても検討をしていくことになります。面会交流を求める側も、求められる側も、間接交流の可能性を頭に入れて調停に臨むことが必要になっています。

Q. 養育費の請求したいのですが、どうすればよいでしょうか?養育費の額を変更することはできるのでしょうか?

A. 養育費についても、原則は父母の話し合いで決まり、話し合いによって決めることができない場合は家庭裁判所の調停・審判を利用することができます。離婚の調停、訴訟に付随して申し立てることもできますし、養育費についてのみ調停・審判の申立をすることもできます。また、養育費の増額、減額を求める調停・審判も申し立てることができます。

 なお、家庭裁判所の調停や審判で養育費が定められた場合や公証役場で公正証書を作成した場合、支払義務者が任意に養育費を支払わない場合には、給料や預貯金などを差し押さえ、強制的に養育費を回収することができます。ただし、文面によっては強制執行が認められない場合もあり得ます。調停・審判によって決まる場合や公正証書を作成する場合も、弁護士による確認を経ておく方が安心です。
 家庭裁判所や公証役場の関与なしでされた合意は、たとえその合意に弁護士、司法書士、行政書士などの専門家が関与していたとしても、強制的に回収することはできません。家庭裁判所や公証役場を利用することによる手間、費用の問題はありますが、将来の未払いのリスクへの対応を考えると、これらを利用して養育費の合意をしておくことをお勧めします。

 家庭裁判所で「養育費」の額を決める際には、家庭裁判所が作成した「養育費・婚姻費用算定表」が基準になります。この「養育費・婚姻費用算定表」は、裁判所のウェブサイトに掲載されています。使用方法も記載されていますので、ぜひ、一度、ご覧になられてください。この「養育費・婚姻費用算定表」から、おおよその婚姻費用の額を予想することができます。
 この「養育費・婚姻費用算定表」は、「統計を参考にした、一般的と思われる家庭の生活費」を基準としたものになります。生活状況はそれぞれのご家庭によって異なりますので、「子どもが私立の学校に通っており、高額な学費の負担がある」場合など、修正が必要となる事案もあります。修正が必要となる事情が存在するかは、個別の事案によって異なります。専門家にご相談ください。
 この養育費の算定の方法は、「婚姻費用」の算定の方法と基本的には同じです。「婚姻費用」との違いは、「婚姻費用」は別居中の夫又は妻の生活費分も支払う義務を負いますが、養育費は未成熟の子の分についてのみ、支払う義務を負うという点です。そのため、通常は、「婚姻費用」よりも「養育費」の方が額は小さくなります。

 このように、養育費は、通常、収入をもとに計算を行いますので、収入の状況が変化した場合には養育費の増額、減額が問題となります。また、再婚や養子縁組等により、養うべき子の人数に変更があった場合も、一人あたりの養育費の額は変わることとなります。他にも、子の進学等のイベントに伴い、これまでの養育費の額が不相当になるというケースもあります。このような場合、一度決まった養育費を変更することも可能です。養育費の変更は、父母の間で合意が成立する場合にはその合意で決めることになりますが、合意が整わない場合には家庭裁判所で養育費増額/減額の調停・審判を利用することができます。
 なお、一度、裁判所の調停・審判や公正証書で決まってしまうと、この調停・審判・公正証書を変更せずに支払額を変更した場合、支払義務者の側は強制執行を受ける危険が生じます。家庭裁判所の手続きを経て変更をすべきです。家庭裁判所では、養育費の増額、減額の請求があった時点の父母の収入状況や親子の生活状況を確認したうえで、養育費の変更が相当か、協議、審理をしていくこととなります。

 次に、子が何歳になるまで養育費を支払うべきかについて、これまで、家庭裁判所は、原則は20歳(に達する日の属する月)までとし、特別の事情がある場合にこれを変更するという運用をしていました。この特別な事情としては、例えば、子が大学に進学する可能性が高いケースで、標準的な大学卒業の年齢である「22歳に達した後のはじめの3月まで」とするケースなどがあります。今後も、特別の事情がある場合の取り扱いは変わらないと思われますが、成人年齢が18歳に引き下げられたことに伴い、原則18歳までの支払いにするのか、従前どおり20歳までの支払いを原則にするのか、という問題があります。
 この点について、現時点では定まった運用はありませんが、裁判所による研究である「養育費、婚姻費用の算定に関する実証定期研究」には、「成年年齢引き下げによる影響」という項目で「個別の事案に応じて認定される」としつつ「未成熟子を脱する時期が特定して認定されない事案については、未成熟子を脱するのは20歳となる時点とされ、その時点が養育費の支払義務の終期と判断されることになると考える」と記載されています。現在の家庭裁判所の運用は、この研究に記載されているものと同じく、養育費の支払義務の終期を「20歳に達するまで」と考えているケースが多いように思われます。ただし、民法の改正(成人年齢の引き下げ)からまだ時間が経っていませんので、今後、世の中の変化に合わせ、家庭裁判所の運用が変化する可能性もあります。

Q. 相手方が合意をした婚姻費用・養育費等を支払ってきてくれません。

A. 家庭裁判所の調停、審判、判決で婚姻費用・養育費等が定まっている場合、公証人役場で公正証書を作成している場合、通常は、強制執行等の手続きを検討することになります。
 なお、裁判所や公証役場の関与なしに婚姻費用・養育費等の合意をしている場合、強制執行をするためには、まず、家庭裁判所の審判等の手続きを経る必要があります。弁護士、司法書士、行政書士などの専門家が合意書作成などに関与したというだけでは強制執行をすることはできませんので、ご注意ください。

婚姻費用・養育費等の支払確保について、裁判所はいくつかの制度を用意しています。強制執行以外にも手続もありますので、ここでご紹介します。

① 履行勧告
 家庭裁判所の調停・審判などで決まった内容を相手方が守らない場合に、家庭裁判所から、相手方に対して、その内容を守るよう、説得・勧告をする制度です。要は、「家庭裁判所の名前で、「約束を守りなさい」という通知を出してくれる」という手続きです。なお、公正証書で取り決めたものについては、この制度を利用することはできません。
 制度の利用に費用がかからず、手続きも簡単ではありますが、相手方に支払いを強制することはできません。相手方がこの履行勧告を守らない場合もペナルティはありません。あくまで、家庭裁判所から「支払いに応じなさい/約束を守りなさい」などと言ってもらえるというだけの制度ということになります。

② 強制執行
 裁判所が、支払いをしない相手方の財産を差し押さえ、その中から強制的に支払いをさせる制度です。差し押さえる財産は様々なものが考えられますが、預貯金・不動産・自動車などの財産を差し押さえることもあれば、相手方が受け取っている給料・報酬などを差し押さえることもあります。
 相手方のどの財産を差し押さえるかは、強制執行を申し立てる側が決めなければなりません。強制執行を申し立てる側が、財産を特定して強制執行の申立をする必要があるという制度となっています。そのため、強制執行の手続を行う前に、まず、相手方にどのような財産・収入があるか、把握をしておく必要があります。相手方が、自宅などのわかりやすい財産を持っている、公務員・大企業など安定した職に就いているといったケースでは差し押さえは比較的容易ですが、実際には、職を転々としている、差し押さえ可能な財産がないといったケースも多くあります。強制執行にまで至るケースは、相手方にわかりやすい財産がないケースや逃げ回っているケースも多いです。財産の所在が分からないケースでは、次の③の手続きを検討することになります。

 強制執行の手続は、地方裁判所で行います。家庭裁判所ではありませんので、ご注意ください。通常、相手方の住所地を管轄する地方裁判所で手続きを行います。手続きは、申立書などの必要な資料を地方裁判所の窓口に提出するか、郵送するかによって行います。書式は地方裁判所のウェブサイトに掲載されているものもあります。

③ 財産開示手続・第三者からの情報取得手続
 「財産開示手続」は、債権者(支払いを受ける側)からの申立により、地方裁判所が、債務者(支払う義務を負っている側)を地方裁判所に呼び出し、財産の内容を明らかにするよう、命令する手続きです。この手続きも家庭裁判所ではなく地方裁判所の手続ですので、お間違えの内容、ご注意ください。債務者が地方裁判所からの呼び出しに応じない場合や財産の内容を明らかにしない場合には、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」に処せられます。最近、実際に罰金などの処分がなされるケースが出てきており、「使うことのできる」制度となっています。財産開示手続を行うために必要な書式などは、地方裁判所のホームページをご覧ください。

 また、財産開示手続を利用しても債務者の勤務先がわからなかったとき、財産の所在が分からなかったときなどに、裁判所が公的機関や銀行などから債務者の情報を取得する「第三者からの情報取得手続」という制度もあります。この制度は、債権者の申立てに基づき、地方裁判所が、債権者が選択した市区町村や日本年金機構などに対し、債務者の勤務先に関する情報の提供を命じる制度です。こちらの手続も地方裁判所で行います。書式などは、地方裁判所のホームページをご覧ください。

 債権者の財産や収入の状況がわからない場合、これらの制度を利用し、債務者の財産・収入などを把握したうえで、強制執行を行うこととなります。

④ 強制執行がうまくいかない場合
 以上のような手続きは用意されてはいるのですが、相手方が無職で財産もないような場合は、差し押さえる財産・収入がなく、強制執行をすることができないということもあり得ます。残念ながら、現在の制度では、強制執行ができない場合に養育費の支払いを確保する制度はありません。
 なお、各市区町村で養育費の支払い確保に関する制度を独自に用意している場合がありますので、各市町村の子ども関係の窓口への相談をお勧めします。

 以上のとおり、裁判所は、強制執行などの手続きを準備しています。
 これらの手続きの注意点としては、繰り返しになりますが、①養育費などの合意する際に、裁判所の手続や公正証書を利用しておかなければならない、②相手方に財産・収入が全くない場合には、どうすることもできない、ということです。

Q. 結婚をしている間に夫婦で積み立てた貯金や保険などを分けてもらうことはできるのでしょうか?主夫/主婦であっても財産を分けるよう請求することはできますか?

A. 夫婦が同居中に共同で積み立てた財産を分割する「財産分与」という手続きがあります。後述のとおり、婚姻期間中に収入のなかった主夫/主婦からも分与を求めることが可能です。

 この「財産分与」も、通常、離婚と同時に検討することが多いですが、離婚後に請求することも可能です。ただし、家庭裁判所に財産分与の審判を求めることができる期間は離婚の時から2年の間に限られています(民法768条2項)。特に協議離婚で財産分与の取り決めをしていない場合には注意が必要です。

 財産分与の対象となる財産は、「夫婦が結婚し、同居中に得た財産」です。預貯金がわかりやすいですが、他にも土地・建物、自動車、生命保険、株式・有価証券等、積立金・退職金など様々な財産が財産分与の対象となります。名義が共有のもののみではなく、単独のものも財産分与の対象です。結婚・同居期間中に一方が得ていた給与により形成した資産は、原則として財産分与の対象となります。
 一方が主夫/主婦であるなどして収入がなかったとしても、資産の形成に一定の貢献をしたと考え、財産の分与を請求できるというのが家庭裁判所の運用です。

 他方、結婚前から夫婦のどちらか一方が所有していた財産や、結婚・同居期間中でも夫婦のどちらか一方が自身の親などから相続・贈与などにより取得した財産は、一方のみの財産となり、財産分与の対象とはなりません。このような財産分与の対象とならない財産のことを「特有財産」と呼びます。

 財産分与の対象となる財産は「別居の時点で存在していた財産」です。「離婚成立時点」の財産では有りません。別居の時から離婚の時までに得た財産は、「特有財産」となり、財産分与の対象とはなりません。

 財産分与においては、負債(借金)も考慮されることとなります。ただし、負債は「分与」をすることはできません。「財産分与」によって負債の名義人(債務者)が変更されるということはありません。「財産分与」によってプラスの財産を分ける際に、離婚後も一方が負う負債の額を考慮して分ける財産に差を設けるなどして考慮をすることになります。なお、財産分与において考慮となる負債は「夫婦共同生活の維持のために必要とされる負債」のみであり、生活費不足を補うための借金や婚姻期間中に購入した家の住宅ローンなどは考慮の対象となりますが、婚姻期間中に、一方がギャンブルにはまって作ってしまった負債など、夫婦共同生活の維持と関係のない負債については、通常、財産分与の考慮の対象とはなりません。

 財産分与の方法ですが、家庭裁判所の一般的な運用では、夫婦双方の別居時点の財産をリスト化し、特有財産を除いたうえで、両者の財産を足して2分の1で割るという方法で分与を行います。2分の1という割合が争いになることもありますが、裁判所は、一方が主夫/主婦であったとしても、2分の1という判断をすることが原則です。例外的に、一方が特殊な才能等により相当高額な資産を蓄えていた場合や一方の特有財産が夫婦の財産の形成に大きな寄与をしていたケース、夫婦の支出に相当の偏りがあったケースなどについて、2分の1という原則が修正されることがあります。
 また、財産分与は、単に夫婦の共有財産を清算するというだけではなく、それぞれの今後の生活の保障のために行われる場合や、慰謝料的な要素も含めて検討される場合もあります。特に調停や和解の場面では、財産分与の額を(微)調整することで解決を図るケースが多くあります。このように、様々な要素を考慮したうえで相当な財産分与の内容を検討していくこととなります。

 また、実際には、どの財産を誰が取得するか、例えば、預貯金と自宅不動産がある場合、どちらが家を取得するか、などについても調整が必要です。これらについても、双方の希望を考慮して検討をしていくこととなります。事案によっては、自宅を売却し、売却で得た収入を分けるなどの対応をすることもあります。財産分与の方法について法律上の限定はありませんので、事案に応じ、柔軟に対応をしていくことになります。

 最後に、税金関係について、原則として、財産分与は非課税とされています。ただし、分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額などを考慮してもなお多すぎるような場合や贈与税を免れるための(偽装)離婚と認められるような事案では、贈与税が科されることがあります。

Q. 年金分割とはどのような手続きですか?

A. 「年金分割」とは、婚姻期間中の厚生年金・共済年金の記録を分割する制度です。結婚期間中、夫婦が加入していた厚生年金・共済年金の報酬比例部分について、夫婦のどちらか多い方から少ない方に分割することにより、将来受け取れる年金の額が不公平になることを修正する制度です。5:5になるように修正するケースがほとんどです。
 国民年金は分割の対象ではありません。私的年金(企業年金など)については、財産分与で考慮されることとなります。

 年金分割の手続には、以下の2つの方法があります

① 合意分割
 (元)夫婦の合意、又は裁判所の手続により年金分割を行う方法です。
 手続きの流れは、年金事務所において「年金分割のための情報提供通知書」を取得し、年金分割のために必要な情報を得ることになります。これを踏まえ、当事者で協議をし、合意ができる場合は、両当事者で必要な書面を作成し、年金事務所に提出をすることになります。当事者間での協議ができない場合には、家庭裁判所の調停や審判で決めることとなります。実際には、年金分割のみ調停や審判を行うことは珍しく、離婚の調停・訴訟などに付随して審理をされることがほとんどです。
 分割の割合は、「年金分割のための情報提供通知書」に記載をされている範囲内であればどのような割合と設定することもできますが、通常は5:5とすることがほとんどです。争いがある場合、裁判所に判断を求めることもできますが、裁判所の判断もほぼ5:5となります。財産分与の場合以上に修正されるケースは少ないとされています。

② 3号分割
 3号分割は、平成20年(2008年)4月以降、離婚時までの間に厚生年金に加入している人の被扶養者(3号保険者)であった期間について、一律50パーセントの割合で、保険料納付記録を分割する制度です。被扶養者であった方が単独で手続きをすることができ、相手方(元配偶者)の同意は不要です。家庭裁判所で手続きをする必要もありません。年金事務所で手続きを行うことが可能です、

 なお、いずれの制度を利用する場合も年金分割の申請は、離婚後2年以内に制限されていますのでご注意ください。
 裁判所の手続で年金分割が決まった場合であっても、年金事務所で必要な手続きをしなければ分割の効力が発生しないことに注意が必要です。裁判所が年金事務所に通知をするということもないので、ご自身で届出をする必要があります。この年金事務所への届出も、原則として離婚後2年以内にする必要があります。

Q. 離婚に伴い慰謝料を請求したいと考えています。

A. 離婚に関係する慰謝料としては、

① 不倫や暴力などの、個別の行為に対する慰謝料
② 一方の責任により離婚をせざるを得なくなったことの慰謝料

の2種類の請求が考えられます。実際には、上記①、②を一緒に請求することも多いのですが、慰謝料の請求権としてはそれぞれ別の請求権となります。慰謝料の発生時期(①についてはその行為があった日、②については離婚の成立日)などが微妙に異なります。また、①については、離婚をするか否かにかかわらずに請求をすることができますが、一般的には、離婚が成立する場合の方が慰謝料は高額になる傾向があります。

 慰謝料の請求は、他の離婚に付随する手続きとは異なる点があり、交渉で解決しない場合、地方裁判所・簡易裁判所の(通常の)民事訴訟の手続きで請求することとなります。ただし、離婚調停や離婚訴訟の中で慰謝料を請求をすることも可能で、この場合は、地方裁判所・簡易裁判所ではなく家庭裁判所で審理が行われることとなります。

 慰謝料請求の手続きは、通常、「話し合いによる調整」ではなく「証拠によって裁判所を説得する」手続きになります。慰謝料の発生を証明する証拠は、事案によって異なります。
 不倫の慰謝料請求の場面では、不倫の場面が記録された動画や音声など、直接の証拠で証明することができれば強力ですが、そのような証拠がない場合は、メール、LINE等の記録、写真などの証拠から、間接的に「不倫をしていることが間違いない」ということを証明していくことになります。最近はGPS情報なども証拠として提出されることがあります。
 暴力があった場合には、診断書、ケガをした部分の写真、警察等の記録などから証明をしていくこととなります。また、暴力や暴言の場面の録音や録画も証拠となります。
 「モラハラ」などについては録音や日記、メールなどの記録から証明をしていくことが多いかと思われます。
 証拠による証明の方法は事案によって様々ですので、何かあったときには、とにかく記録を残していくことが、後々のための証拠を残すことにつながります。

 次に、慰謝料の額について。慰謝料の額につき、決まった「相場」というものはありません。考慮される要素としては、一般的には、

・ 暴力や不倫などが繰り返された回数、時期の長さ
・ 行為の悪質性(暴力などであればけがの程度などの結果も影響する)
・ 証明の程度、決定的な証拠があるかどうか
・ 不倫や暴力などが原因となって離婚に至ったかどうか

といったところとされていますが、実際には「義務者の資産・収入の状況より、その額の支払いを命じることが現実的か」といった点も考慮されているのではないかという事案も存在します。そして、裁判所の判断は先例の積み重ねという側面があるため、過去の類似の事例でどのような結果になっているかという点も重要な要素となります。裁判所を介さない交渉では、様々な事情により極端に高い額や極端に安い額での和解も存在するため、インターネット上の情報だけでは判断することは難しいです。

 なお、慰謝料の発生は離婚時に限定されているわけではありませんので、内縁関係が破壊された場合や婚約を破棄された場合などにも発生することがあります。

 慰謝料が発生するか、発生する場合、額がいくらになるかという点については、事案によって異なりますが、一般的には、類似の先例を参考にしつつ、検討していくこととなります。

 なお、不倫慰謝料のQ&Aについてはこちらもご覧ください。

Q. 夫/妻から暴力を受けています。まず、何をすればよいですか?

A. まず、身の安全を守ることが第一です。各都道府県や市区町村の相談窓口などにご相談されるか、緊急の場合は警察に通報してください。子の安全の確保も重要です。
 また、余裕があれば、けがをした部分の写真を撮る、病院に行って診断書を作成してもらうなど、証拠を残しておいていただけると今後の手続きを進めやすくなります。

 身の安全の確保ができた後、事案によっては地方裁判所へ保護命令の申立を行います。申立先は「地方裁判所」で「家庭裁判所」ではありません。い間違えの内容、ご注意ください。
 「保護命令」は、地方裁判所が、加害者(とされる方)に対し、必要に応じ、

・ 被害者への接近禁止命令
・ 被害者への電話等禁止命令
・ 被害者の子への接近禁止命令
・ 被害者の親族等への接近禁止命令
・ 住居からの退去命令

の全部または一部を発令する手続です。加害者(とされる方)は、発令された命令に違反すると、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に処せられます。

 保護命令の申立を行う場合には、原則として、地方裁判所への申立ての前に、警察や配偶者暴力支援センターへの相談が必要となります。そのため、まずは、都道府県・市区町村、警察などの相談窓口に相談をしていただくことになります。これらの窓口で保護命令の申立ての支援を受けることができることもあります。
 保護命令の申立書・陳述書などの書式は、地方裁判所の窓口で受け取るか、裁判所のウェブサイトで入手することになります。この書式に必要事項を記入していきます。特に、陳述書は、できる限り詳細に記載するようにして下さい。申立書や陳述書に書かれた内容を裏付ける証拠があれば、その証拠の添付する必要があります。診断書やケガをした場所の写真などがあれば、これらが証拠になりますので、申立書に添付します。申立書・陳述書などが完成したら、地方裁判所の窓口に申立書・陳述書・証拠などを提出します。
 地方裁判所は提出された書類の審査と申立人(被害者とされる方)・相手方(加害者とされる方)からの聞き取りを行い、保護命令発令の必要はあるか、発令する場合、どの命令を発令するかを検討し、判断します。申立人と相手方が裁判所で会うことがないよう、時間や日程をずらして裁判所に呼び出すことになります。

 保護命令の効力は、「住居からの退去命令」については2か月間、その他の命令は6か月間、続きます。この期間の間に、生活の立て直しをしていくことになります。再度の保護命令の発令を求めることも可能ですが、裁判所に再度の保護命令発令の必要性を認めてもらう必要があります。

 また、保護命令とは別に、各市区町村で手続きを行うことにより、住民票などの閲覧を制限することができます。手続きは、各市区村長の窓口で行います。この手続により、加害者(とされる方)は被害者(とされる方)の住民票を閲覧・取得することができなくなります。これにより、被害者(とされる方)が住民票を異動したとしても、加害者(とされる方)に転居先を知られる危険が低くなります。

 以上の各手続により安全を確保したうえで、離婚を決意された場合には、離婚の手続きに移ります。このようなケースでは当事者間での交渉は難しいと思われますので、弁護士が介入することが多いかと思います。加害者(とされる方)の側から離婚を望んでいるという話が出てこなければ家庭裁判所の調停を利用することが多いでしょう。家庭裁判所の調停では、現在の住所を秘匿しつつ手続きを進めることができますし、調停当日に当事者が顔を合わせることがないよう配慮をするようになっています。しかしながら、待ち伏せなどもあり得なくはないので、細心の注意を払いながら手続きを進めていくこととなります。このようなケースでは、調停を行う家庭裁判所とよく調整をしながら調停手続きを進めていくこととなります。

Q. 家庭裁判所で夫婦円満に向けての話し合いをすることはできるのでしょうか?

A. 家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満)という手続きを利用することができます。調停手続では、裁判所の調停委員が、当事者双方から事情を聞き、夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、その原因を各当事者がどのように努力して正すようにすれば夫婦関係が改善していくかなどを聞き取り、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をすることになります。

 なお、手続きの中で話し合いをした結果、離婚に向けての調整を行うということになる場合もあります。離婚をするか迷っている場合にこの手続きを利用することも可能です。

Q. 離婚が成立した後、「氏」はどうなりますか?

A. 離婚が成立すると、結婚に伴い「氏」を変更していた側は、旧姓に戻ります。特に何の手続きもしていなければ、離婚と同時に、自動的に旧姓に戻ります。戸籍については、自身の親の戸籍に戻るか、新たに自身の戸籍を作成するか、選択することができます。

 結婚に伴い「氏」を変更していた側が結婚当時の氏を使い続けたい場合、離婚の日から3か月以内に、市区町村に「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」をした場合は、婚姻中の氏を使い続けることができます。この届出は、離婚届の提出と同時に行うことが多いと思われますが、同時である必要はありません。この届出をすると、新たに自身の戸籍が作成されることになります。元夫・元妻の戸籍に戻ることはありません。婚姻中の氏を使い続けることについて、相手方(元夫・元妻)の同意は不要です。氏を変更する/しないことを強制することはできません。

 以下、例をお示しします。

 田中太郎さんと佐藤花子さんが結婚をし、田中姓を名乗ることとなる。
 田中太郎さんと田中花子さんが離婚をする場合、

 ① 特に手続きを行わない場合、佐藤花子さんとなる。
 ② 離婚後3か月以内に届け出をした場合田中花子さんとなる。この届け出は、市区町村にすることになります。離婚後3か月以内であれば家庭裁判所の手続は不要です。

 一方、子の氏は、離婚と同時に変更されるものではありません。親権者の氏が変更となった場合も、子の氏が自動的に変更されることはありません。

 上の事例で説明すると、

 田中太郎さんと田中花子さんの子どもとして田中一郎さんが生まれた。
 田中太郎さんと田中花子さんが離婚をし、田中花子さんは佐藤花子さんとなった。田中一郎さんの親権者は佐藤花子さんと指定された。
 この場合も、一郎さんの氏は、田中一郎のままである。自動的に佐藤になるわけではない。

 このような事例では、離婚後、子の氏を変更するために、家庭裁判所に「子の氏の変更許可」の申立を行う必要があります。具体的には、以下のような手続きとなります。

 佐藤花子さんが市区町村に離婚届を提出する

 ⇒ 佐藤花子さんの戸籍が作成される。同時に田中太郎さんの戸籍の田中一郎さんの部分に「親権者佐藤花子」との記載がなされる。

 ⇒ 一郎さんが15歳未満のときは佐藤花子さんが、一郎さんが15歳以上のときは一郎さん自身が、家庭裁判所に、「子の氏の変更許可」の申立を行い、許可の決定をもらう。

 ⇒ 裁判所の許可決定を市区町村役場に提出すると、田中太郎さんの戸籍から一郎さんが抜かれ、佐藤花子さんの戸籍に一郎さんが入る。これにより、佐藤一郎となる。

 この手続きは「子を元の戸籍から抜いて、親権者の戸籍に入れる」という手続きになります。そのため、仮に、婚氏を続称する場合(上の例では、田中花子を使い続ける場合)であっても、子を元の戸籍から抜いて新たな戸籍に入れなおす(上の例では、田中太郎さんの戸籍から一郎さんを抜いて、新たに田中花子さんの戸籍に入れなおす)手続きが必要となります。

 このように、離婚後の氏の変更の手続きは、事案によっては複雑な手続きが必要となる場合がありますので、不明な点がありましたら、専門家と相談をしながら手続きを進められることをお勧めします。

Q. 離婚が成立した後の手続きについて教えてください。

A. まず、離婚届けを市区町村の窓口に提出します。

 協議離婚の場合は(元)夫婦両方の署名が必要です。協議離婚の場合は、離婚届を提出した時点で離婚が成立します。詳しい説明は「Q. 協議離婚をする場合、何を作成しなければならないのでしょうか?」をご覧ください。

 裁判所の調停・訴訟などにより離婚が決まった場合にも離婚届の提出は必要です。裁判所の手続きで離婚が成立する場合、離婚の成立日は、調停離婚の場合は調停成立時、和解・認諾による離婚の場合は和解成立時・認諾時、審判・判決による離婚の場合は確定時(原則、審判や判決が両当事者に届いてから14日を経過した後。最高裁判所の判決の場合は判決の瞬間。)になりますので、離婚届の提出がなくとも離婚は成立しますが、離婚が成立したことを報告する義務があるため、離婚成立日から10日以内に離婚届を提出する必要があります。法律上、10日以内に離婚届を提出しない場合、過料をという、違反金の請求を受ける場合があるとされています。
 調停・審判・訴訟(判決・和解・認諾)で離婚が決まった場合、相手方の署名は不要で単独で離婚届を提出することが可能です。裁判所から必要書類を受け取った上で、各市区町村で離婚届を提出してください。証人は不要です。また、結婚当時の本籍地以外の市区町村に届け出を行う場合には、あらかじめ戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)を取得しておき、これも提出する必要があります。

 離婚届提出後の手続きとしては、以下のようなものがあげられます。

・ 婚姻の際に称していた氏を引き続き利用する場合は、3か月以内に届け出をする。
・ 年金分割についての定めが行われた場合には、年金事務所で手続きを行う。この手続きは離婚成立後、2年以内にする必要があります。なるべく早く手続きを行っておくことをお勧めします。
・ 相手方(元)配偶者の扶養に入っていた場合には、健康保険などの切り替えの手続きを行う。
・ 子の氏の変更の手続きが必要となる場合は、裁判所で必要な手続きを行う。
・ 氏、本籍地などに変更があった場合は、運転免許証や預金口座などの名義変更を行う。
・ 財産分与によって所有者が変更された財産について、名義変更、登記、登録を行う。不動産等については、登記・登録を変更しておかなければ、第三者との取引が発生した場合などにその権利を失う危険があります。

 いずれの手続についても、自身の権利を失わないようにするため、忘れずに対応することが必要となります。ご不明な点があれば各手続きを管轄する役所、銀行等に問い合わせを行うか、専門家に相談するようにして下さい。