遺言書作成・相続対策


「自身の死後、親族間で争いがないようにしたい」
「自分の財産を特定の人に相続させたい」
「自身の事業の承継をしたい」
「自身が亡くなった後の事務を信頼できる人に依頼したい」(死後事務委任契約)

など、遺言書作成・相続対策等について、ご相談をお受けしています。
ご相談者様が望んでおられるプランを実現するためにどのような手段があるか、ご提案をさせて頂きます。

なお、ご自身が認知症などになった場合への対策については、成年後見・財産管理のページもご覧ください。
ご相談者様の今後について、総合的なサポートをご提案させていただくことが可能です。


遺産分割・相続放棄・遺留分等に関する問題


「親族間の仲が悪く、遺産の分割が進まない」
「どうしても自身が引き継ぎたい遺産(例えば自宅など)がある」
「介護などでずっと苦労してきたのに、他の相続人と同じ扱いをされるのは納得がいかない」
「遺産(の一部)を使い込んでいる人がいる」
「お墓の承継について意見がまとまらない」
「遺産としてどのようなものがあるのか、わからない」
「(兄弟姉妹の相続などで)相続人がはっきりしない」
「相続人の中に行方不明者・判断能力のない方がいて手続きが進まない」

など、遺産分割を行うにあたっては、様々な問題が発生することがあります。

また、事案によっては

「借金・債務があるなどの理由により、相続を拒否したい」
「亡くなられた方の「債権者」から突然連絡が来て困っている」
「亡くなられた方が滞納していた税金の督促状が届いた」

といったご相談もありうるかと思います。

さらに、遺言のあるケースでも

「遺言に書かれていることを実現するためにはどうしたらよいのか」「手続きがわからない」
「遺言が無効なのではないかという疑いがある」
「遺言が複数あってどうすればよいかわからない」
「自身の何の権利もないのはおかしい」(「遺留分があるはずだ」)

などの問題が発生することがあります。

これ以外にも相続の場面では、様々な問題が発生することがあります。

これらの問題について、必要な調査を行い、採るべき手続きをご案内し、
代理人として活動を行います。
不利益が生じないように、弁護士が必要なサポートを行います。

Q&A

よくある質問と回答

Q. 遺言がない場合、相続はどのようになるのでしょうか?

A. 遺言がなくても相続は発生します。

 遺言があれば、原則としてその遺言の内容に従って財産が相続されることとなりますが、遺言がない場合、以下の図のとおりに相続されます(民法817条から890条)。

 上記の表において、同順位の法定相続人が複数いる場合は、その人数で均等に分けることとなります(例えば、配偶者と子2人がいる場合には、配偶者が2分の1、子2人はそれぞれ4分の1ずつとなります。)。ただし、父母のどちらか一方の違う兄弟姉妹(半血の兄弟姉妹)の相続分は、父母の両方が同じ兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。

 なお、相続が発生する時点で既に子は亡くなっているが子の子(孫)がいる場合、孫が相続人となります(「代襲相続」といいます。この場合、直系尊属や兄弟姉妹は相続人にはなりません。)。この場合の孫の相続分は、子の相続分と同じです。孫が亡くなっているがひ孫がいるという場合にも代襲相続は発生します。直系尊属についても、例えば父親が亡くなっている場合で祖父母(あるいはその一方)が存命であれば、存命の祖父母が相続人となります(この場合、兄弟姉妹は相続人にはなりません。なお、この場合は「代襲相続」とはいいません。)。兄弟姉妹が亡くなっている場合も、おい・めいが代襲相続します。ただし、兄弟姉妹については、おい・めいの子には代襲相続しません。

 代襲相続等が発生してくると相当複雑になることがありますし、相続人を確定させるための戸籍の取得も複雑になってきますので、専門家にご相談されることをお勧めします。

Q. 遺言がない場合、どのように相続財産を分ければよいのでしょうか?

A. 基本的には自由です。民法は「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」としており(民法906条)、相続人全員が(真意で)合意をするのであれば、財産を自由の分割することができます。上記の法定相続分にしたがって分けなければならないということはありません。土地・建物は長男Aさん、預貯金は長女Bさん、株式は次男Cさんという分け方も可能であり、全員が合意をしているのであれば、Aさん、Bさん、Cさんの間で受け取る遺産の価値が不平等になったとしても問題はありません。また、例えば土地をAさんとBさんで半分ずつ共有するといった分け方も可能です。また、一部のみを先に分割するということも可能です。

 しかしながら、完全に自由としてしまうと、声の大きい相続人の独断で遺産の分割が行われることとなってしまいます。相続人のみでの話し合いが困難な場合には、家庭裁判所の遺産分割調停を利用することができます。

 すでに遺産分割協議書や合意書を作成してしまっている場合、その協議書・合意書を無効とすることは(あり得ないわけではありませんが)難しくなります。分割の方法に納得がいかない場合には、協議書・合意書にサイン・押印をする前に専門家に相談することをお勧めします。

Q. 遺産分割はいつ行えばよいのでしょうか?

A. 遺産分割はいつでもできます。遺産分割をせずに放置をしておくことも、可能ではあります。

 ただし、遺産分割を未了のまま放置しておくと被相続人の預貯金を引き出すことができないなどの不利益が生じます。この点について、従来、金融機関は、遺産分割をしなければ一切の預金の払い戻しには応じないという態度を示すことが多くなっていました。2019年に民法が改正され、一部の預貯金については遺産分割を行うことなく、相続人のうちの1人が単独で払い戻しを受けることができるようになりました(民法909条の2)。しかしながら、預貯金全額の払い戻しを受けるためには、遺産分割を行わなければならないことは、現在も変更されてはいません。
 また、2024年4月1日以降は相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならなくなります。このような点からも、遺産分割未了の状態を放置し続けることは好ましいことではありません。

 なお、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。 遺産分割が成立していなかったとしても相続税の申告を行い、納付をしなければなりません。遺産分割が終了しておらず、遺産を全く取得していない状態であったとしても法定相続分に応じて計算された相続税について納付義務が生じます。分割されていないということで相続税の申告期限が延びることはありません。この場合、遺産分割終了後に修正申告又は更生の請求を行うことにより、自分自身の遺産の取得分に応じた負担に変更をすることができます。

Q. 相続の対象となる財産はどのようなものですか?

A. 被相続人(亡くなられた方)が亡くなった時点で所有していた一切の財産と負債が相続の対象となります(民法896条)。プラスの財産のみではなくマイナスの財産(負債)も相続の対象となることに注意が必要です。土地・建物・自動車・現金・預貯金などわかりやすい物のみではなく、債権(交通事故の損害賠償債権、第三者への貸付金を回収する権利など)も相続の対象となりますし、株式なども相続の対象となります。
 他方、以下のものは相続の対象とはなりません。

① 条文や解釈により、相続財産に属さないとされている財産・権利(一身専属権)は相続の対象とはなりません。雇用契約上の地位(民法625条)、組合員の地位(民法679条)、扶養請求権、離婚時の財産分与請求権、生活保護の受給権などがその例です。
 また、民法上、相互の信頼関係を基礎にする契約は、当事者の死亡により終了するとされています。使用貸借契約(民法599条)、委任契約(民法653条)などがその例です。

② お墓・位牌・仏壇・遺骨などは、祭祀承継財産とされ、相続とは別に処理をされます(民法897条)。

③ 受取人が指定されている死亡保険金などは、被相続人が死亡された時点で、指定された受取人に直接支払われるものとなりますので、相続の対象とはなりません(ただし、保険金を受け取った事実が後の遺産分割の際に考慮されることはあります。)。他方、受取人が被相続人本人となっている保険契約の保険金は相続財産となります。

Q. 遺産の評価はどのようにすればよいのでしょうか?

A. 法律上、遺産の評価方法に限定はありません。相当な方法で評価をすることになります。遺産分割調停・審判で、不動産について評価に争いがある場合、不動産鑑定士による鑑定が行われることもあります。

 なお、裁判所の遺産分割調停では、遺産分割をする時点での評価額を算定し、これに基づいて分割するという運用を採用しています。

Q. 遺産分割は誰と誰の間で行うのでしょうか?

A. 相続人となっている方全員で分割を行います。一部の相続人を漏らして遺産分割を行うと遺産分割の合意が無効となるので注意が必要です。

 なお、法定の相続人以外を受遺者とする遺言がある場合(包括遺贈が指定されている場合)には、その受遺者が遺贈を放棄しない限り、その受遺者を参加させて遺産分割協議を行う必要があります。また、相続人から相続分を譲り受けた方がいらっしゃる場合は、その方も遺産分割の当事者となります。

Q. 共同相続人の中に未成年者がいる場合はどうすればよいのでしょうか?

A. 未成年者(18歳未満の方)の親権者が、未成年者に代わって遺産分割を行います(民法824条)。
 なお、①親権者と未成年者の両名ともが相続人になっている場合は、親権者と未成年者の利益が相反することになり、また、②複数の未成年者が共同相続人になっており、その親権者が同じ者である場合には、未成年者同士の利益が相反することになります。これらの場合には、家庭裁判所で「特別代理人」を選任してもらう必要があります。

Q. 共同相続人の中に行方不明者がいる/判断能力のない方がいるなどして遺産分割を進めることができません。どうすればようでしょうか?

A. 共同相続人の中に行方不明者がいる、判断能力のない方がいるなどして遺産分割が進まなくなることがあります。これらの場合、民法に定められた手続きを行うことで遺産分割ができるようになります。

 行方不明者がいらっしゃる場合は、その行方不明者の方について、家庭裁判所でその方の財産を管理する不在者財産管理人を選任してもらい、選任された不在者財産管理人に遺産分割に加わってもらうこととなります。

 判断能力のない方(認知症や精神の障害などにより、遺産分割をどのように行うかについて、有利・不利を理解することができる能力のない方。)がいらっしゃる場合は、その方の判断能力の程度にもよりますが、親族の方などが成年後見等申立を行い、判断能力のない方の成年後見人(又は保佐人・補助人)を選任してもらい、成年後見人等が本人を代理する形で遺産分割を行うこととなります。

 以上のとおり、家庭裁判所で必要な手続きを行うことで遺産分割を進めることが可能になります。どのような手続きが必要になるか等について、詳しくは専門家にご相談ください。

Q. 遺産分割は、どのような方法で行えばよいのでしょうか?

A. 特に「このように分割をしなければならない」という規定はありません。一般的には、以下のいずれかの方法によって分割されることが多いですが、共同相続人などの当事者の合意があれば、自由に分割をすることが可能です。家庭裁判所の手続で分割をする場合は、以下のいずれかの方法のうち、適切と思われる分け方を家庭裁判所が裁量で決めることとなります。

 ① 現物分割 財産形状や性質を変更することなく、そのまま相続人に引き継がせる方法です。
 ② 代償分割 一部の相続人が相続財産を取得した上で、相続財産を取得した相続人が、他の相続人に対し、自身が多めに取得した価値分の債務を負わせるという方法です。
 ③ 換価分割 相続財産を売却し、その利益を分けるという方法です。
 ④ 共有分割 相続人で相続財産を共有するという方法です。なお、この分割方法で共有となったものを分割する場合は、遺産分割の手続ではなく、共有物分割訴訟を行うことになります。  

Q. 遺産分割について話し合いがまとまりません。どうすればよいでしょうか?

A. 家庭裁判所の遺産分割の調停を利用することが考えられます。遺産分割調停の管轄裁判所は、原則として相手方となる共同相続人のどなたか1名が居住している土地を管轄する家庭裁判所となります。相手方が複数いる場合、どの相手方の住所地の家庭裁判所に申し立ててもよいこととなっています。遺産分割の調停は、管轄のある家庭裁判所に遺産分割の申立書と必要書類(戸籍謄本・財産目録など)を提出して行います。申立手数料は1200円で、収入印紙によって支払います。他に家庭裁判所の指定する切手を収める必要があります。
 遺産分割の調停でも話し合いがまとまらない場合は、遺産分割の審判が行われることとなり、家庭裁判所の裁判官が遺産の分割方法を決めることになります。遺産分割の審判に不服がある場合は、遺産分割の審判を受け取った日の翌日から2週間以内に不服申立(即時抗告)をすることとなり、高等裁判所で審理が行われることとなります。2週間以内に即時抗告をしない場合、審判は確定します。
 なお、遺産分割の調停・審判では、遺言がない場合、法定相続分に従った分割をする方向で調停を進めることが原則です。「長男がすべてを相続する」等の主張は、通常、認められませんので、ご注意ください。

Q. 家庭裁判所の調停で遺産分割を行う場合、どのくらいの時間がかかるのでしょうか?

A. 事案により異なります。一般的に、家庭裁判所の調停は、申立書を提出してから1~2か月程度で初回の調停期日が入り、その後も1~2か月に1回程度、調停の期日が入ります。その後は調停の成立するか不成立となるまで調停が続きます。何回期日を重ねることになるかは、事案によって異なります。遺産分割では争点も多くなりがちですので、解決まで1年以上かかることも珍しくありません。また、遺言書の効力が争われている場合、だれが相続人であるか争いがある場合、どこまでが遺産に含まれるのか争いがある場合、使途不明金の問題がある場合などは、話し合いでの合意が困難になると遺産分割調停とは別の手続で確定させなければならなくなることもあり、さらに時間を要することとなります。解決までに数年以上かかる事案もあります。

Q. 家庭裁判所の調停行う場合、必ず家庭裁判所に出向かなければならないのでしょうか?

A. 原則、家庭裁判所に出頭する必要がありますが、家庭裁判所が認めた場合は、電話により調停に出頭することができます。弁護士に事件処理を依頼している場合で、遠方の家庭裁判所に管轄がある場合、調停期日には弁護士の事務所に来ていただき、弁護士の事務所から電話で調停期日に出頭するということが一般に行われています。
 なお、現在、ウェブ会議システムを利用した調停の実施が検討も行われています。

Q. 遺言がありますが、この遺言は無効だと考えています。争うことはできるのでしょうか?

A. 例えば、認知症により判断能力を失った後に遺言を作成したような事案など、遺言の有効性が問題となる事案があります。遺産分割調停の中では、当事者全員が遺言が無効であることに合意をした場合を除き、遺言の有効性について判断をすることができないため、争いがある場合には、別途、民事訴訟(遺言無効確認訴訟等)により遺言の有効性を争うことになります。遺言の有効・無効が確定した後、さらに遺産分割の必要がある場合には、その後に遺産分割調停を利用することは可能です。

Q. どのような場合に遺言が無効になるのでしょうか?

A. 一般論をお話しすると、遺言を作成した時点で、「遺言の内容を理解し、遺言をしたことによる結果を認識できるだけの能力」が存在しなかった場合、その遺言は無効になります。
 具体的には、以下のような事項を総合的に検討し、判断されるといわれています。
・ 遺言を作成した方の、遺言を作成した時点の年齢
・ 遺言を作成した方の、遺言を作成した時点の病状、心身の状況、健康状態とその推移
・ 遺言を作成した方の、認知症などの発病の時期と遺言を作成した時期の関係
・ 遺言を作成した方の、遺言を作成した時点やその前後の言動
・ 遺言を作成した方の、生前の自身の財産の行方についての意向
・ 遺言を作成した方と遺言によって財産を受け取る方との関係
・ 遺言の内容(簡単か、複雑かなど)
・ 遺言が自筆証書遺言(等)で作成されているか、公正証書遺言で作成されているか

 具体的に判断は、事案によって異なります。具体的な事案についての回答は、専門家にお尋ねください。

Q. 遺言の内容があいまいで解釈に争いがあります。どのようにして争うのでしょうか?

A. 遺産分割調停の中で遺言の解釈について判断をすることはできないので、争いがある場合には、民事訴訟を提起して判断をしてもらう必要があります。

Q. 遺産分割協議書が存在しますが、その効力に争いがあります。どのようにして争うのでしょうか?

A. 署名・印鑑を偽造されて虚偽の遺産分割協議書がされた場合など、遺産分割協議書の有効性が問題となることがあります。こちらについても遺産分割調停の中で判断をすることはできないので、民事訴訟を提起して作成された遺産分割協議書の有効性を判断をしてもらう必要があります。

Q. ある財産が遺産なのかどうかについて争いがあります。どのように争うのでしょうか?

A. ある財産が遺産なのかどうかという問題(例えば、ある預貯金の名義人は被相続人となっているが、実際には第三者の財産であるとの主張が出てくる場合。)も、争いがある場合には、民事訴訟を提起して判断をしてもらう必要があります。

Q. 相続人の1人が、被相続人の死亡直前、又は被相続人の死亡後に勝手にお金を引き出してしまいました。これを争うことはできますか?

A. 使途不明金の問題は、遺産分割調停の中でも主張をすることは可能です。ただし、相続人間で合意が成立しそうもない場合には、遺産分割調停とは別に民事訴訟を提起し、そこで争うこととなります。民事訴訟の中では、使途不明金について、ある相続人が自分自身のために引き出したといえる証拠があるのか等が争われることになります。
 よくある事例として「確かにお金を引き出したが、被相続人の病院代等の支払のために使った」という反論が出てくることがあります。この場合、この主張を裏付ける証拠はあるのか等について民事訴訟で審理を行います。

Q. 遺産分割調停を申し立てる予定ですが、相続人の1人が遺産を勝手に使おうとしています。阻止できますか?

A. 遺産分割の調停または審判を家庭裁判所に申し立てた場合、審判前の保全処分という手続きを利用して財産の管理人を選任してもらうことができます(家事事件手続法200条1項)。遺産分割の協議(交渉)ではこの手続きは利用できません。遺産分割の調停または審判を申し立てる必要があります。また、「財産の管理のために、財産管理人の必要があること」、Qの例では、相続人の1人が遺産を勝手に使い込む可能性があることを裁判所に説明をしなければなりません。

Q. 相続人のうちの1人が葬儀費用を支出しました。他の相続人に請求することはできますか?

A. 葬儀費用は、喪主が負担すべきものと考えられています。遺産分割協議・調停の中で他の相続人が葬儀費用(の一部)の負担を認めた場合は、葬儀費用を負担したことを遺産分割の一時譲渡して考慮することは可能ですが、争いがある場合は、民事訴訟において、葬儀費用の負担者を判断してもらうことになります(特別の合意がない限り、喪主の負担と判断されることが多いと考えられます。)。
 香典についても、喪主に対する贈与か遺族全体に対する贈与なのか争われることがあります。これについても、相続人全員が合意をすれば遺産分割協議・調停の中で処理することが可能ですが、争いがある場合、民事訴訟で香典の趣旨を確定させることになります。

Q. 相続人のうちの1人が遺産の管理費用を支出しました。他の相続人に請求することはできますか?

A. 遺産の管理費用は遺産そのものではないと考えられています。そのため、厳密にいうと遺産分割の対象とはなりません。ただし、実務上は、共同相続人の合意が得られるのであれば、遺産分割の中で調整が行われます。ただし、遺産の管理費用の額や負担割合などについて争いがある場合には、民事訴訟にとって解決をするほかありません。
 なお、遺産から収益が発生した場合(遺産である不動産から賃料が発生した場合、遺産である株式から配当金が発生した場合)にも誰がこの収益を取得するかについて、管理費用の負担と同じような問題が発生することがあります。

Q. 相続人のうちの1人が、被相続人の生前に被相続人から贈与を受けていました。この事実は遺産分割において考慮されるのでしょうか?

A. 共同相続人の中に被相続人から生前に贈与を受けた、又は、遺贈を受けた人がいる場合、これを無視して遺産分割を実施すると不公平になるため、これを調整する規定が民法に置かれています(民法903条。「特別受益」といわれます。)。

 具体的な計算としては、「相続開始の時点で現存する相続財産」(遺贈がある場合は、遺贈が行われる前の財産)に相続人が「婚姻」のため、「養子縁組」のため、「生計の資本」のために受けた「贈与」の額を足すことで「みなし相続財産」を計算します(「持戻し」といいます。)。この「みなし相続財産」が遺産分割の対象となります。この点について、遺贈については、遺贈の目的等に関係なく「みなし相続財産」に含まれることになりますが、「贈与」については、婚姻や養子縁組のための持参金・支度金や居住用の不動産、営業資金等の「生計の資本」のための贈与のみが「みなし相続財産」に含まれるものとなります。他方、扶養義務の範囲内の援助は、一般的には特別受益に含まれないとされています。また、一部の相続人が取得した死亡保険金は、原則として特別受益にはなりませんが、「保険受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らして到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合」には特別受益に準じて「持戻し」の対象になるとされています(最高裁判所平成16年10月29日判決)。これらについて、「みなし相続財産」に入るか、その額がいくらかなどが争われる場合には、家庭裁判所が遺産分割の調停・審判の中で判断をしていくこととなります。

 以上の方法により「みなし相続財産」を計算したうえで、「遺贈」や「贈与」を受けた相続人は、自身の相続分から「遺贈」や「贈与」の価額を引いた残額が相続分となります。また、「遺贈」や「贈与」の価額が、相続分の価額に等しいか、相続分の価値を超えるときは、相続分を受けることができなくなります。以下、事例を用いて説明します。

 共同相続人は、いずれも被相続人の子で、Aさん、Bさん、Cさんの3人。遺言はなく、それぞれの相続分は3分の1。相続財産は、預貯金1500万円のみ。

事例① Aさん、Bさん、Cさんのいずれもが遺贈、贈与を受けていない場合、Aさん、Bさん、Cさんの相続分は、全員500万円となる。

事例② Aさんは、被相続人から、被相続人の生前、婚姻時の持参金として300万円を受け取っていた。この場合、特別受益を考慮すると、Aさんの相続分は300万円、BさんとCさんの相続分はそれぞれ600万円となる。

事例③ Aさんは、被相続人から、被相続人の生前、婚姻時の持参金として1500万円を受け取っていた。この場合、特別受益を考慮すると、Aさんの相続分は0円、BさんとCさんの相続分はそれぞれ750万円となる。

 なお、ある贈与が特別受益にあたるか等については、判断が難しい場合が多くあります。様々な背景事情によって結論が変わってきますので、専門家に相談されることをお勧めします。

Q. 自分は共同相続人の1人ですが、被相続人の事業を無償で手伝ってきました。この事実は相続の際に考慮されるのでしょうか?

A. 共同相続人の中に被相続人の財産の維持や増加について通常期待される程度を超える貢献をした方がいる場合、その方に多めに相続財産を分けることにより共同相続人間の公平を図る「寄与分」という制度があります。相続財産のうちの一部を、被相続人の財産の維持や増加について特別の貢献をした者に先に渡して公平を図ったうえで、残りの財産を共同相続人(特別の寄与をした人を含む)で分配するという制度です。この「寄与分」を主張できるのは共同相続人のみです。共同相続人以外の方は、「寄与分」の主張をすることはできません。

民法の改正により、令和元年7月1日以降に発生した相続については、相続人ではない被相続人の親族で、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした方(特別寄与者)が、相続人に対し、寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することができるようになりました(民法1050条)。
 この特別寄与料の支払について、相続人と特別寄与者の間で協議が調わないときや協議をすることができないときには、家庭裁判所の調停・審判の手続を利用することができます(調停を申し立てる場合「特別の寄与に関する処分調停事件」と呼ばれます。遺産分割調停の中で特別寄与料の審理をすることはできません。)。調停手続で話合いがまとまらず、調停が不成立となった場合には、自動的に審判手続が開始され、家庭裁判所が特別寄与料の有無や額を決定します。
なお、家庭裁判所での特別寄与料の請求は、特別寄与者が相続の開始と相続人を知った時から6か月以内であり、かつ、相続開始の時から1年以内にしなければならず、この各期間を経過すると請求をすることができなくなります。
 令和元年6月30日より前に発生した相続については、この請求を行うことはできません。

 寄与分を主張するためには「特別の寄与」があったことが必要です。この「特別の寄与」とは、被相続人とその相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超えた貢献がある場合をいうとされています。また、寄与行為によって被相続人の財産が増加したか、維持されたという事実が必要であるため、精神的な援助は寄与分として考慮されないこととなっています。具体的には、無報酬・低報酬で被相続人の事業・農業等を手伝ったこと、無報酬・低報酬で扶養や療養看護を行ったこと、被相続人に対し扶養の範囲を超える医療費等の援助をしたこと等の事情がある場合に「寄与分」が認められうるとされています。

 寄与分については、具体的な算出方法について民法に規定はありません。寄与分について争いがある場合には、家庭裁判所が、寄与の時期、方法、程度などの一切の事情を考慮して決定することとされています。なお、具体的な算出方法としては、類似の先例があればそれを参考にしていくことが多いかと思います。詳しくは専門家にお尋ねください。

Q. お墓・位牌などについても遺産分割の対象となるのでしょうか?

A. 民法は、「系譜(家系図など)、祭具(位牌・仏壇など)及び墳墓(墓石・墓碑など)の所有権は、(中略)慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する」(897条1項。()内は筆者が追加。)と定めており、原則として、遺産分割の対象とはなりません。遺骨・ご遺体も遺産分割の対象にはならないとされています。これらは「祖先の祭祀を主宰するべき者」が引き継ぐこととなります。
 「祖先の祭祀を主宰するべき者」を話し合いで決めることができない場合には家庭裁判所の調停を利用することができます。この手続きは遺産分割の調停とは別の手続となります。家庭裁判所は、お墓の掃除をしているのは誰か、仏壇・位牌を管理しているのは誰か、供養料を支払っているのは誰かなどの事情を考慮して判断をすることになります。

Q. 借金も相続しますか?

A. 借金(負債)も相続の対象となります。プラスの財産だけ相続し、マイナスの財産は相続しないという選択をすることはできません。相続が発生したときにとれる選択肢は以下の3つのみとなります。「預貯金は相続したいが、田舎の田・畑・山林は相続したくない。何を相続するか選ぶことはできないか?」との相談を受けることもあります。しかしながら、財産の一部のみを相続するという選択をすることはできません。

① 単純相続
 財産も負債も、すべて引き継ぐものです。
 この場合、特に手続きは不要です(ただし、複数の相続人がいらっしゃる場合、遺産分割が必要です。)。

② 相続放棄
 財産も負債も、一切引き継がない(すべて放棄する)というものです。
 一部の財産・負債のみ放棄するという選択をすることはできません。
 相続放棄をするためには、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所(亡くなられた方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所)に相続放棄の申述を行う必要があります。ただし、事案によっては、この要件が緩和されることがあります。次のQをご覧ください。
 相続放棄をした場合であっても、お墓・位牌などは相続財産ではないため、放棄されることはありません。
 なお、相続放棄について注意すべき事項として、相続放棄は家庭裁判所で手続きを行わなければ相続放棄にはならないということがあります。よく、「自分は、ほかの相続人に、「遺産は一切いらない」と言った。」ことをもって「相続放棄をした。」と認識されている方がいらっしゃいますが、これだけでは相続放棄をしたことにはならず、負債があれば支払義務を負うことになります。相続放棄をする場合は、必ず、家庭裁判所で手続きを行うようにしてください。

③ 限定承認
 「相続によって得た財産の範囲内でのみ負債を返済する」という選択です。財産より負債が多い場合は、得た財産の範囲で負債を返済すれば、自身の財産から負債を返済する義務はなくなります。
 ただし、限定承認は、㋐ 相続人全員が限定承認をしなければならないこと(一部の相続人のみが限定承認をするという選択はできない)、㋑ 手続きが複雑であり、長期間、手続きが続くこと、㋒ 遺産の含み益に譲渡所得税がかかる場合があること、等の理由により、利用件数はあまり多くありません。
 特に限定承認については、期待した効果を得ることができないという問題が発生することもありますので、限定承認を決断される前に弁護士(及び事案によっては税理士)への相談をお勧めします。

 なお、負債を単純承認により引き継ぐ場合、複数人の相続人がいれば、その相続人が、それぞれ法定相続分の負債を引き継ぐこととなります。例えば100万円の借金を負っている方が亡くなり、その相続人が妻(法定相続分2分の1)及び子2名(法定相続分はそれぞれ4分の1)の場合、妻が50万円、子2名がそれぞれ25万円を引き継ぐことになります。この割合は相続人の側で勝手に(債権者の許可なく)変更をすることはできません(相続人の側で誰が支払うのか決めることは自由ですが、その取り決めがあることを債権者に主張することはできません。)。一方で連帯債務となることもないので、例えば、債権者から妻宛に100万円の支払いの請求が来たとしても、支払う義務があるのは50万円の範囲ということになります。

Q. 相続放棄はいつまでできるのでしょうか?

A. 相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」であればすることができます(民法915条1項)。この期間は、家庭裁判所で手続きを行うことにより、原則として6か月に延長することができます。ただし、期間内であっても、すでに遺産を消費してしまったなど、法定単純承認(民法921条)に該当する場合は相続放棄ができなくなります。相続放棄がありうる場合には、財産に手を付けず、まず専門家に相談することをお勧めします。

 3か月の期間制限について、被相続人が亡くなられてから3か月以内に手続きを完了すれば期間制限が問題になることはありません。問題となるのは、相続放棄等の手続をとらないまま、3か月を超えてしまった場合です。

 このような場合であっても、被相続人と疎遠であった・音信不通であったなどの理由があり、被相続人が亡くなったことを知ることができなかった事情があれば、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月以内に相続放棄をすれば足ります(被相続人の死亡から3か月以上経っていても相続放棄をすることができます。)。警察や役所からの通知で被相続人の死亡を知った場合には、その通知を受け取ってから3か月以内であれば相続放棄が可能ということです。

 また、被相続人が亡くなったことは知っていたが、負債の存在を知らなかった場合などには、例外的に3か月の期間経過後に相続放棄をすることができる場合もあります。最高裁判所昭和59年4月27日判決が「相続人が、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に相続放棄をしなかったのが、被相続人に相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との間の交際状態その他諸般の状況からみて、その相続人に対し、相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において上記のように信じたことについて相当な理由があると認められるときには、相続放棄の熟慮期間は相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時、または通常これを認識し得べき時から起算すべきものである」と述べており、一定の条件の下で相続放棄を認める判断をしています。まったく交流のなかった被相続人の債権者(税金の滞納分の請求という場合も多いです)から突然請求書が届いた、といったケースでは、被相続人死亡から3か月以上経過している場合であっても相続放棄をすることができる場合もあり得ます。

 以上のように、3か月の期間制限を超えているように見えても相続放棄をすることができる場合もあります。ただし、被相続人の死亡の日から3か月を超えて相続放棄をする場合、家庭裁判所に理由の説明を求められることになりますので、このようなケースでは、特に専門家に相談・依頼をするなどして、家庭裁判所を説得できる申述書を作成する必要性が高くなります。

Q. 相続放棄の申述はどこの裁判所にすればよいのでしょうか。

A. 被相続人(亡くなられた方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。最後の住所地は、戸籍の附表を取得することで調べることができます。
 相続人の住所地ではないため遠方の裁判所の管轄となる場合もありますが、申立書を郵送で提出することも可能です。相続放棄を受理したことの証明書も郵送で取り寄せることができます。

Q. 相続税が発生するのはどのような場合ですか?

A. 現在の相続税の基礎控除額は「3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」となっています。相続財産の評価額がこの額を超えると、原則として相続税が課されることとなります。
 相続財産の価値が相当低く基礎控除の範囲内であることが明らかである場合を除き、相続税の発生の有無や自身が納めるべき相続税の計算等については、税金の専門家である税理士と連携して対応させていただきます。

Q. 遺言があれば相続争いはなくせるのでしょうか?

A. 遺言があれば相続争いを減らすことはできます。しかしながら完全になくすことはできません。

① 遺言の解釈に関する問題
 遺言の文面があいまいであると、その解釈をめぐって争いが生じることがあります。特に専門家の関与なくつくられた自筆証書遺言等については、その争いが起きやすくなります。遺言を作成された方はすでに亡くなられているためその文面の意味を問うこともできず、遺言の解釈が困難になり、何年も争いが続くというケースも珍しくありません。遺言作成時に専門家が関与をした上で、公正証書にしておくことで、遺言の解釈の問題が生じることを減らすことができます。

② 遺言の有効性に関する問題
 遺言をした際にすでに認知症が進行しており、判断能力がなかった等の争いがおこることもあります。認知症と診断されている方等であって遺言を作成した時点で判断能力があれば遺言は有効ではあるのですが、後から判断能力の検証を行うことは難しいため、しばしば問題となります。
 対策としては、公正証書遺言にしておくことが考えられますが、公証人は判断能力を担保してくれるわけではないため、公正証書遺言であってもその有効性が争われることはあります。できる限り、お元気なうちに、遺言を作成しておくことが大事です。

③ 遺留分の問題
 「Q. 遺留分とは何ですか?私は請求できますか?」に詳しく記載をしておりますが、法定相続人のうち、配偶者・子・直系尊属には「遺留分」という権利があります。これは、遺言の内容にかかわらず、最低限、相続できる財産を確保することができるという制度です。
 遺留分の権利を行使するかはその権利を持っている方の自由なので、遺留分を侵害するような遺言、例えば、配偶者と長男・長女がいる場合に、全財産を長男に相続させる、というような内容の遺言を作成することは可能です。ただし、このような遺言を作成した場合、相続発生後、配偶者と長女が、長男に対し、遺留分を請求することがあり得ます。遺留分についてどのようにするのかも遺言作成の際に検討しておく必要があります。

Q. 遺言の内容は自由に決めてよいのでしょうか?

A. 民法上、遺言に書くことができる内容は以下のように決められています。

・ 認知、未成年後見人の指定など、身分に関する事項
・ 相続分の指定、遺産分割の方法の指定、相続人の廃除など、相続に関する事項
・ 遺贈など、遺産の処分に関する事項。相続人以外の者に財産を遺贈するという内容の遺言も有効です。
・ 遺言執行者の指定など、遺言の執行に関する事項
・ 祭祀承継者の指定
・ 生命保険金の受取人の指定など

 これ以外の内容(例えば「兄弟仲良くしてほしい」と書き込むなど。)を遺言に書き込むことも自由ですが、法律上の効果は発生しません。

 なお、民法上、一つの遺言証書で2人以上の者が共同で遺言をすることは禁止されており(民法975条)、このような内容の遺言を作成するとその遺言全体が無効となります。

Q. 遺言の作成方法に制限はありますか?

A. 遺言は、民法で定められた形式で作成しなければ効力がありません。多くの遺言は自筆証書遺言か公正証書遺言になるかと思いますが、いずれも、民法に定められた方式で作成をしなければ、効力がないこととなっています。
 まず、自筆証書遺言について、民法は「自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」としています(民法968条1項)。全文を自書で作成しなければならない(パソコン打ちで作成すると無効となる。)、日付を特定できる形で書かなければならない(「〇月吉日」だと無効です。)、押印が必要(実印でなくてもよい。)など、要件は厳格です(ただし、判例により軽微なミスであれば有効な遺言とされることがあります。)。なお、民法が改正され、添付をする財産目録については、自書でなくてもよいこととされています(同条2項)。
 公正証書遺言は、公証人役場で作成するもので、その要件は民法969条に記載されています。公証人役場で、公証人の目の前で遺言を作成をしますので、民法の要件を満たさないということは通常ありません。
 有効な遺言を作成するためには、(費用と手間はかかりますが)公正証書遺言にすることをお勧めします。

Q. 遺言を作成する条件はありますか?

A. 民法上、遺言は満15歳以上にならないと作成することができません(民法961条。成人年齢とは異なります。)。また、認知症などにより遺言のできる能力のない方による遺言は無効となります。成年後見人が付されている方も遺言を作成することはできますが、医師2人以上の立ち合いが必要などの制限があります(民法973条)。

 なお、公正証書で作成した遺言であっても無効となることはあり得ます。しかしながら、遺言作成時に公証人が遺言者の能力を確認していること、公証人以外に2人以上の証人がいることから、公正証書遺言は、それ以外の形式の遺言に比べ、有効性が認められやすくなります。このような観点からも、遺言を作成されるのであれば、(費用と手間はかかりますが)公正証書遺言にすることをお勧めします。

Q. 作成した遺言を撤回することはできますか?変更することはできますか?

A. いずれも可能です(民法1022条)。公正証書で作成した遺言を自筆証書等で変更・撤回することもできます。また、遺言書を物理的に破棄した場合も遺言を撤回することができます(民法1024条)。公正証書遺言については、公証人役場で手続きをし、撤回します。内容の矛盾する遺言が複数ある場合、矛盾する部分については、日付が後の遺言が有効になります(民法1023条)。

Q. 公正証書遺言の作成の手続きを教えてください。

A. 「公正証書遺言」は、公証人が遺言者の意思を聞き取って作成する遺言書のことです。自分で遺言書の内容の全部を書く「自筆証書遺言」とその効力は同じですが、家庭裁判所の「検認」の手続が不要になる他、形式面で無効になる危険がなくなりますし、内容面も公証人のチェックが入るため、問題が起きる可能性を減らすことができます。そのため、弁護士が遺言作成のご相談を受けた場合には、「公正証書遺言」にしておくことをお勧めすることが多いかと思います。

 「公正証書遺言」を作成するための手続は、以下のとおりです。なお、公証人役場によって微妙に運用が異なる場合がありますので、利用する公証人役場が決まったら、まず、電話でお問い合わせいただくことをお勧めします。

① 遺言の内容の検討
 まず、公正証書遺言の文面を検討します。公証人と面談をし文面を作成する場合もあれば、弁護士などの専門職に文面の作成を依頼することも可能です。いずれにせよ法律の専門家が作成に関与しますので、法的に無効な文面になることは、通常はありません。

② 遺言の作成
 文面が完成したら、公証人役場で遺言を作成します。遺言作成の日には、遺言者の実印が必要になります。また、遺言をする方の戸籍謄本、印鑑登録証明書、財産を受け取る方の戸籍謄本・住民票、財産に関する書類(登記事項証明書・通帳など)を公証人役場に持参する必要があります。

 加えて、法律上、遺言者と公証人以外に2人の証人が必要です。証人に特別な資格は不要ですが、次の方は証人になることができません。
・ 未成年者
・ 推定相続人(法律上、遺言者の相続人になる予定の方)
・ 受遺者(遺言によって遺産を引き継ぐ予定の方)
・ 推定相続人・受遺者の配偶者・直系血族

通常、遺言を作成する方が証人2名を準備することになります。知人や友人に頼むことが一般的かと思います。免許証などの本人確認のできる書類を持参するよう、お願いをしておいてください。証人の準備が難しい場合、公証役場に照会してもらうことができる場合もありますが、証人1人につき5000円~1万円程度の費用が必要になります。
 証人の役割は、遺言の作成に立ち会い、遺言書に署名・押印をすることです。証人になったことによって、責任が発生することは、通常はありません。遺言の内容について、保証人になることはありません。ただし、後に遺言の効力が問題になった場合、裁判所などから、遺言を作成した日のご本人の状態などを聞かれることがありえないとはいえません。

 遺言作成の日には、遺言者・公証人証人2名の、合計4名立ち合いの下、以下の手続を行っていきます。
・ ご本人の本人確認(ご本人に氏名・生年月日などをお話しいただきます)
・ ご本人のご家族関係の確認
・ ご本人に、なぜ、遺言をするか、話してもらう
・ ご本人に、どの財産を誰に相続させるか、話をしてもらう
・ 公証人が遺言書の内容を読み上げ、ご本人が内容を確認する
・ 内容に問題がなければ、遺言者・証人2名・公証人が、それぞれ、遺言書に署名・押印をする。

 以上の流れで、遺言を作成します。作成には、通常30分から1時間程度の時間がかかります。

③ 遺言の保管
 作成された公正証書遺言の原本は、公証役場で保管されます。
 遺言者ご本人には、公正証書遺言の正本と謄本が、各1通、手渡されます。正本はご自身で、謄本は相続人に渡しておくなどされることが多いかと思いますが、保管の方法は自由です。

 公正証書遺言の作成の際には手数料が必要となります。手数料の額は、作成した公正証書遺言に記載されている遺産の価格によって変わります。
 例えば、遺言の目的である財産の価格が2000万円の場合は手数料が3万4000円、5000万円の場合は4万円、1億円の場合は5万4000円となります。これらは、公証人手数料令という規則で決まっています。
 また、公正証書遺言の正本や謄本の作成費費用として、1枚につき250円の手数料が必要になります。
 その他の手数料が必要になる場合もあります。詳しくは、公証役場にお問い合わせください。

 遺言者が公正証書遺言を作成されていた場合、遺言者が亡くなられた後、相続人や受遺者は、公証役場に、遺言公正証書の検索の依頼や謄本(認証のあるコピー)の請求をすることができます。遺言者の生存中はすることはできません。
 遺言公正証書の検索の依頼や謄本の請求は、電話で公証役場に予約をしたうえで、予約日に、遺言者の死亡がわかる書類(除籍謄本など)・請求者の戸籍謄本・身分証明書・印鑑などを持って、公証人役場に行き、申請をします。遺言公正証書の検索はデータでできるため、全国どこの公証役場で申請をしてもよいことになっています。遺言者が遺言を作成した公証役場まで行かなければならないということはありません。なお、電話での公正証書作成の有無などの問い合わせは、通常、対応してもらうことができません。

Q. 自筆証書遺言の保管制度について教えてください。

A. 「自筆証書遺言保管制度」は、作成した自筆証書遺言を法務局に預かってもらうという制度です。令和2年7月10日から開始された、新しい制度です。なお、令和2年7月10日以前に作成された遺言書も、書式を満たしていれば、保管することができます。
 この制度を利用することのメリットは、以下のとおりです。

① 遺言書の紛失・亡失のおそれがなくなる
 遺言書の保管制度を利用すると、法務局が、自筆証書遺言を、適正に、管理・保管することになります。遺言書の原本だけではなく、画像データも管理することになり、紛失の危険がなくなります。なお、遺言の保管期間は、原本については、遺言者が亡くなられた日から50年間、画像データについては、遺言者が亡くなられた日から150年間とされています。

② 遺言の形式をチェックしてもらえる
 自筆証書遺言の作成方法は、民法で決められています。民法に決められた方法で作成されていない自筆証書遺言は、効力のないものとなってしまいます。自筆証書遺言は、専門家が関与せず、自分で作成をすることも多いため、形式面のミスにより、無効となるケースも多くあります。
 「自筆証書遺言保管制度」を利用すると、法務局で保管を申請する際に、法務局の職員が、作成された自筆証書遺言が民法の定める形式に適合しているか、確認をします。このとき、形式面のミスがあれば、指摘をしてもらえます。これにより、自筆証書遺言が無効になるリスクを減らすことができます。

③ 相続開始後、家庭裁判所における「検認」の手続が不要となる
 自筆証書遺言は、相続発生後、家庭裁判所で「検認」という手続きを受けなければならないことになっています。この「検認」を経ないと、その先の手続に進むことはできません。
 「自筆証書遺言補完制度」を利用すると、この「検認」手続きをしなくてもよくなるため、相続開始後、すぐに先の手続に進むことができるようになります。

④ 相続開始後、相続人などが、全国どこの法務局でも遺言書の内容を確認することができる
 遺言書は、原本と共に画像データでも管理されているため、全国どこの法務局においても遺言書のデータを確認することができます。相続人などが遠方に住んでいる場合でも、遺言書の内容を簡単に確認することができます。

⑤ 遺言者が亡くなられた場合、相続人などに通知をしてもらうことができる。
 遺言者があらかじめ通知を希望している場合、その通知対象とされた方に対し、遺言者が亡くなられた事実が確認できた時に、遺言書が保管されている旨のお知らせが届きます。遺言者が亡くなられたことは、法務局の側で情報を収集しているため、外部からの通知は不要です。なお、通知をしてもらう相手方は、遺言者1人につき、1人のみとされています。
 また、これとは別に、相続人のうちのどなたか1人が、遺言書保管所において遺言書の閲覧をしたり、遺言書情報証明書の交付を受けた場合、その他の相続人全員に対して、「遺言書保管所に関係する遺言書が保管されている」とのお知らせが送られるようになっています。

 以上のように、「自筆証書遺言保管制度」を利用することにより、遺言を紛失したり、相続人が遺言を見つけられないというリスクを避けることができる他、形式面の審査もしてもらえるため、メリットは大きいです。自筆証書遺言を作成される場合、この制度の利用をお勧めします。

 「自筆証書遺言保管制度」の利用方法は以下のとおりです。

① 自筆証書遺言を作成する
 まず、自分で、自筆証書遺言を作成します。自筆証書遺言は、遺言書の全文、遺言の作成日付、遺言者氏名を、遺言者が自書し、押印する必要があります。他の人に書いてもらうことはできません。訂正をする場合は、訂正印で訂正をしなければなりません。ただし、財産目録のみ、自書で作成する必要はなく、パソコンなどで作成してもよいこととされています。自筆証書遺言の作成方法がわからない場合は、弁護士などの専門家にお問い合わせください。

 また、「自筆証書遺言保管制度」を利用する場合、法務局側で保管し、データにする関係で、以下のような決まりがあります。

・ 遺言はA4サイズで作成する
・ 遺言の台紙は、記載した文字が読みづらくなるような模様や彩色がないものにする。
・ 上部5ミリメートル、下部10ミリメートル、左20ミリメートル、右5ミリメートル以上の余白をそれぞれ確保する
・ 片面のみに記載をする
・ 各ページにページ番号を記載する。
・ ホチキスなどでつづらない
・ 消えないボールペンや万年筆で作成する
・ 遺言者の氏名は、戸籍のとおりに記載をする

② 遺言を法務局に持参する
 遺言の保管をお願いできる法務局は、以下のいずれかの法務局となります。

・ 遺言者の住所地を管轄する遺言書保管所
・ 遺言者の本籍地を管轄する遺言書保管所
・ 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所
 ただし、既にどこかの法務局で遺言を保管している場合、追加の保管の申請をする場合には、最初に保管の申請をした法務局に対して保管をお願いすることになります。

 保管をする法務局を決めたら、その法務局に予約をします。予約は、インターネット・電話・窓口で申請のいずれかで行います。必ず予約が必要で、当日の予約はできません。
 予約をした日に、遺言書・保管申請書(法務局のウェブサイトでダウンロードするか、窓口で受け取ります)・住民票の写し・身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど)・手数料3900円を持参し、法務局の窓口に行きます。
 法務局では形式面の審査が行われ、問題がなければ、「保管証」が発行されます。

 遺言は、保管後、閲覧、保管の撤回、保管する遺言の変更などを行うことができます。この保管後の閲覧などの際に「保管証」に記載された保管番号が必要となりますので、「保管証」は大切に保管するようにして下さい。

③ 遺言者が亡くなられた後
 遺言者が亡くなられた後、相続人などの方は、以下の手続を利用することができます。

 ・ 遺言書保管事実証明書の交付請求
 ご家族・知人などが作成した遺言書について、自分を相続人や受遺者・遺言執行者などとする遺言書が遺言書保管所(法務局)へ預けられているかどうかを確認するために利用します。
 全国どこの遺言保管所にでも交付請求をすることができます。郵送での請求も可能です。手数料は、証明書1通につき800円です。

 ・ 遺言者情報証明書の交付の請求
 相続人などの方に関係する遺言書の内容の証明書を取得することができます。この証明書には、遺言書の画像情報が全て印刷されていますので、遺言書の内容を確認することができます。取得した証明書は、遺言書の原本の代わりとして各種手続に使用することができます。家庭裁判所の検認の手続きは不要です。
 こちらも、全国どこの遺言保管所にでも交付請求をすることができます。郵送での請求も可能です。手数料は、証明書1通につき1400円です。

・ 遺言書の閲覧の請求
 遺言書の閲覧は、原本を見るか、モニターで見るかになります。遺言書の原本を受け取ることはできません。
 原本の閲覧は、原本を保管している遺言書保管所でしかできませんが、モニターによる閲覧は全国どこの遺言書保管所でも手続可能です。手数料は、原本閲覧の場合は1回につき1700円、モニター閲覧の場合は1回につき1400円です。

Q. 被相続人の遺言を見つけました。どのように手続きを進めればよいですか?

A. その遺言が公正証書遺言であるかどうかで手続きは異なります。

 遺言が公正証書以外で作成されている場合、家庭裁判所で「検認」という手続きを行う必要があります(民法1004条1項)。具体的な手続きは以下のとおりです。ただし、自筆証書遺言保管制度」を利用している場合は、以下の検認の手続は不要です。

① 遺言書を保管している方、または遺言を発見した方は、遺言を作成した方が亡くなった後、遅滞なく(簡単にいうと「なるべく早く」という意味です。)遺言書を家庭裁判所に提出しなければなりません。提出する家庭裁判所は、遺言を作成した方が最後に住んでおられた場所を管轄する家庭裁判所です。封のされている遺言書は、家庭裁判所で開封をするので、勝手に開封してはなりません。

② 家庭裁判所は、検認の申立てを受け付けると、各相続人に対し、検認を行う日を通知します。検認の申立てをした方はこの検認の期日に参加をしなければなりませんが、その他の相続人は出席しても出席しなくてもよいこととなっています。相続人全員がそろわなくても検認の手続は行われます。

③ 検認を行う日になると、家庭裁判所の裁判官は、出席している相続人の方の立ち合いの下、遺言を確認します。封がされている遺言書は、裁判官が開封をします。

④ 家庭裁判所から検認済証明書を受け取り、必要な手続きを進めていきます。

 遺言が公正証書遺言の場合、上記の「検認」の手続は不要です(民法1004条2項)。遺言の内容に従い、必要な手続きを進めてください。なお、遺言執行者の指定がある場合については、「Q. 遺言の中に「遺言執行者」の指定がありました。どのように手続きを進めていけばよいでしょうか?」もご覧ください。

Q. 遺言の中に「遺言執行者」の指定がありました。どのように手続きを進めていけばよいでしょうか?

A. 「遺言執行者」とは、「遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする」方です(民法1012条1項)。相続人のうちの1人が遺言執行者に就任する場合もあれば、第三者が遺言執行者に就任する場合もあります。未成年者・破産者を除き、誰でも遺言執行者になることができます(民法1009条)。弁護士や司法書士などの専門家が遺言執行者になる場合もあります。遺言執行者が指定されている場合、相続人は、勝手に相続財産に手を付けることはできません(民法1013条1項)。相続人が遺言執行者を無視してした相続財産の処分などは無効です(同条2項)。
 以上のとおりとなりますので、遺言の中で遺言執行者が指定されている場合、相続人の方々が勝手に手続きを進めることはできません。遺言執行者が必要な各種手続きを進めていくことになります。

 なお、遺言の中で遺言執行者が定められていない場合であっても、相続人などの利害関係人が遺言執行者が必要と考えた場合には、家庭裁判所に遺言執行者を選任するよう求めることができます(民法1010条)。

 遺言執行者の報酬は、遺言で定められていればこれにより、定めがない場合は家庭裁判所が決定します(民法1018条1項)。遺言執行に必要な費用は遺産から支出されます(民法1021条)。
 遺言執行者が不正な行為をするなど、その任務を怠った場合には、利害関係人は、家庭裁判所に遺言執行者の解任を求めることができます(民法1019条1項)。また、家庭裁判所の許可を得て、遺言執行者の側から辞任をすることもできます(同条2項)。

Q. 遺言で遺贈を受けましたが、この遺贈を放棄することはできますか?

A. 可能です。ただし、その方法に注意が必要です。

 特定の財産の遺贈(「〇〇に所在する不動産を遺贈する」など)を受けた方は、いつでも遺贈を放棄することができ(民法986条1項)、遺贈義務者か遺言執行者に対して放棄の意思表示をすることによって行います。相続放棄とは異なり、家庭裁判所での申述は不要です。

 一方で、包括遺贈(「相続財産の全部を遺贈する」、「相続財産の2分の1を遺贈する」など)を受けた方は、相続人と同一の権利義務を有するようになるため、この遺贈を放棄するためには家庭裁判所で相続放棄の申述を行うことが必要です。この場合、3か月の期間制限も適用されます。

Q. 遺留分とは何ですか?私は請求できますか?

A. 遺留分とは、一部の法定相続人が最低限相続できる財産として、民法に規定されているものです。法定相続人であるにもかかわらず全く遺産相続をすることができないという事態を防止するものです。
 遺留分の権利を持つのは、法定相続人のうち、配偶者・子(子から代襲相続をした孫などを含む。)・直系尊属です。兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1となります。例えば、配偶者・長男・長女の3人が法定相続人で、長男にすべて相続させるという内容の遺言がある場合、配偶者は相続分全体の4分の1、長女は8分の1について、遺留分を行使できることになります。

 遺留分は、遺留分は、遺留分の権利を持つ者がその権利を行使しなければ請求することができません。そして、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、遺留分侵害額請求権も、時効によって消滅すると定められています。また、相続開始の時から10年を経過したときも遺留分侵害額請求権は時効によって消滅します。時効によって権利が消滅した後は請求をすることができません。遺留分の請求を行いたい場合は、期限が来る前に、最低限、遺留分を侵害している方に対して、遺留分の請求をするとの意思を示しておく必要があります。請求したという証拠を残しておくため、内容証明郵便で請求をすることが一般的です。

 遺留分の請求が認められた場合、請求を受けた側は、原則として、遺留分の割合に応じた額を金銭で支払うこととなります。請求を受けた側が遺言・遺贈等により不動産を受け取っている場合であっても、原則として、金銭で支払うこととなります。

遺留分侵害額請求が妥当するのは、2019年7月1日以降に発生した相続です。それ以前に発生した相続については、改正前民法が適用され、遺留分減殺請求という方法を取ることになります。遺留分侵害額請求は、最低限相続できる遺産相当額を金銭で回収するのに対して、遺留分減殺請求は、現物返還が原則になるという違いがあります。また、裁判所の手続により遺留分の請求を行う場合、利用する裁判所や手続きが異なります。詳しくは専門家にお尋ねください。

Q. 亡くなった方に相続人が一切いません/相続人がいるかわかりません。どのようになるのでしょうか?

A. 民法上、相続財産は相続財産法人(民法951条)となり、利害関係人等の請求により相続財産管理人が選任されます(同952条)。その後は、相続財産管理人が相続人の調査をしたうえで、相続人がいないことが確定したら特別縁故者への財産の分与等を検討した後、最終的には、財産は国庫に帰属することとなります(同959条)。
 条文上は以上の処理になりますが、実際には、相続財産管理人の選任に至らず、放置されているような例もあります。